[大弦小弦]「道端にも死体。右も左も死体だらけだった」・・・ - 沖縄タイムス(2019年4月14日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/408753
https://megalodon.jp/2019-0414-0937-33/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/408753

「道端にも死体。右も左も死体だらけだった」。パソコンやスマートフォンの画面から、74年前の沖縄戦の惨状がよみがえる

▼県平和祈念資料館は3月から、戦争体験者が証言する動画の公開をホームページで始めた。「戦世の記憶」

www.peace-museum.pref.okinawa.jp

と題した動画は、体験者が表情や手ぶりを加え、当時の様子を生々しく伝える

▼さらに今回の特長は7言語に翻訳され、世界に発信されていること。近年、全体の入館者数が伸び悩む中、外国人の入館者数は増加傾向にあるという。多言語化について同館は「世界の人々と体験者の証言を共有し、平和の尊さと平和構築について考えることが重要」と説明する

▼激しい地上戦が行われた沖縄戦の最大の特徴は、正規軍人よりも一般住民の犠牲者数がはるかに多いことだ。同館によると、日米合わせた沖縄戦の犠牲者は20万人余だが、そのうち県民は一般住民が9万4千人余り、軍人・軍属を含めると12万人以上になる

▼特に親やきょうだいとの死別が痛ましい。息を引き取りつつある母のそばで幼子が泣く証言には、胸が詰まる。「僕たちがこの世を去っても(あの戦争の記憶は)残したい」との言葉も

▼体験者による語りは貴重な一次資料。年々体験者が減る中、公開された画像は時代や国を超えて見る人の心に届くだろう。体験者の思いに応えたい。(内間健)