[大弦小弦]教室が重い空気に包まれ、誰か手を挙げてと… - 沖縄タイムス(2019年4月9日)

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教室が重い空気に包まれ、誰か手を挙げてと祈りながら時間だけが過ぎていく-。新学期にあるPTA委員決めでこんな経験をしたことはないだろうか

▼子どもが小中学校在籍中、何度かPTA役員・委員を務めた。異学年を含む多くの保護者と親しくなり、行事に奔走した思い出はかけがえのない財産だ。一方で、仕事の折り合いがつかず会議を欠席したことは数知れず

▼なり手がなく、担任に「名前だけでも」と頼まれて役員を引き受けたものの、何もできずに迷惑をかけた苦い記憶も。「任意団体なのに加入が強制的なのはおかしい」など批判もあるPTA。少子化で会員が減る中、保護者が専業主婦(夫)か共働きかにかかわらず、負担の見直しは時代の要請ではないか

▼興味深い体験談が3月までの1年間、熊本日日新聞に掲載された。荒尾市の支局長だった原大祐さん(40)が昨年4月、「以前は『厄介ごと』のイメージだった」PTAの会長に就任。運動会のパトロール、夏休みのプール開放など日々の活動を通して感じた意義や課題を紹介した

▼心掛けたのはオープンな議論で風通しをよくすること。「固定観念にとらわれて距離を置くより、よりよくするためにまずは見てみては」と語る

▼8日、県内の小中高校で新学期が始まった。肩の力を抜いてPTAを考える春にしたい。(大門雅子)