[大弦小弦]沖縄戦で多くの命を落としたひめゆり学徒隊の体験を伝える… - 沖縄タイムス(2019年4月2日)

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沖縄戦で多くの命を落としたひめゆり学徒隊の体験を伝える「ひめゆり平和祈念資料館」(糸満市)は、1989年の平成元年に開館した。砲弾が飛び交う中をさまよった恐怖、戦場でけがを負った友達を残してしまった負い目-。生き残った元学徒が証言員として、身を削るように語ってきた思いを戦後生まれの職員が受け継ぐ

▼先日、沖縄の新聞2社の新人記者らを対象にした初の研修が資料館であった。22歳を筆頭に多くが平成生まれ。身近に戦争体験者が少なくなる中、沖縄戦ひめゆりの歴史をしっかり学んでほしいと願っての試みだった

▼1日、新しい元号が「令和(れいわ)」に決まった。「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」との意味が込められているという

▼「花」「夢」「希望」。安倍晋三首相の会見では、明るい未来を指す言葉が並んだ。ただ、文化を育み、自然をめでるのも、夢や希望に向かって活躍できるのも、平和でなければかなわない

▼「もう一度、弾の落ちてこない空の下を、大手を振って歩きたい」。研修で、ある若手記者は「自決」に追いこまれた学徒が残した言葉を挙げ、平凡な日常を送ることさえできなかった74年前に思いをはせた

▼あと1カ月で平成が幕を閉じる。戦争のない世が令和の時代も続くよう、いま一度平和の尊さをかみしめたい。(大門雅子)