[大弦小弦] 「真面目でひたむきなさま」。いまさらながら「真摯(しんし)」を・・・ - 沖縄タイムス(2019年2月27日)

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「真面目でひたむきなさま」。いまさらながら「真摯(しんし)」を辞書で引くと、こう記されている。聞き心地はいいが、使う人によって意味は違ってくるのだろうか

▼名護市辺野古の新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票の結果について、安倍晋三首相をはじめ官房長官、防衛相、国交相ら閣僚が口々に「真摯に受け止める」と発言した。ただし、続けて工事は進めると

▼7割超が示した新基地はいりませんという結果を「真摯」に受け止めるなら、その言葉通り、いらないという結果に対して真面目に取り組むと解釈できそうだが、そうではないらしい

▼政治家にとって言葉は命ともいわれる。はぐらかしたり、ぼかしたり、表現もうまく使い分ける。だが、「真摯」に受け止めても、工事を続けるという民意を無視した言葉は、ただの偽りでしかない。何よりも真剣な思いで1票を投じた人に対して失礼極まりない話でもある

▼単に政治家が使う都合のいい便利な言葉として見過ごされてはいけない。丁寧な言葉で取り繕うとする国の矛盾に、私たち国民が「真摯」に向き合うことが必要だ

玉城デニー知事は県民投票の結果を日米両政府に伝える。3月1日にも安倍首相との面談を予定している。聞こえのいい言葉はいらない。民意は出た。それにどう向き合うのか、国民が監視する番だ。(赤嶺由紀子)