<今さら聞けない統計不正 Q&A>(上)全数調査 こっそり変更 - 東京新聞(2019年2月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019022302000146.html
https://megalodon.jp/2019-0224-1001-45/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019022302000146.html

厚生労働省の毎月勤労統計が長年、不正な方法で調査されてきた問題は、延べ2000万人超が雇用保険などを過少に給付されていたことが分かり、衝撃が広がりました。組織的な隠蔽(いんぺい)の疑いも晴れません。政府が統計上の賃金の伸びを実際より高く見せるため、調査方法を変えさせた可能性も指摘されます。連日、新たな問題が見つかる統計不正問題を一から整理しました。

Q 毎月勤労統計とは。

A 雇用の動向をつかむため、厚労省都道府県を通じ、五人以上を雇っている事業所の賃金や労働時間などを毎月、調べています。五百人以上の企業は全てを、五百人未満の企業は抽出して調べるルールです。

Q データは何に使われますか。

A 内閣府の月例経済報告に掲載されるなど、景気判断の指標となっています。雇用保険の失業給付額や、労災保険の休業補償額の算定にも使われています。

Q 今回、どんな不正があったのですか。

A 厚労省は二〇〇四年以降、全てを調べなければならない五百人以上の事業所について、東京都ではこっそりと三分の一程度を抽出して調べていました。賃金が比較的高いとされる都内の企業の多くが調査から漏れ、正しく調べた場合より統計上の賃金が低くなりました。統計値を基に決まる雇用保険などの上限も連動して下がり、本来もらえるはずの額を受け取れなかった人が出たのです。

Q 何人いるのですか。

A 雇用保険が延べ約千九百四十二万人(一人当たりの不足額は平均約千四百円)、労災保険は七十二万人(年金給付は同約九万円、休業補償は同約三百円)、船員保険は約一万人(同約十五万円)で、合わせて約二千十五万人。追加給付総額は約五百六十四億円と見込まれます。

Q どうやって返すのですか。

A 〇四年夏以降、雇用保険などを受給した人は対象の可能性があり、厚労省が保険の種類別に設けたフリーダイヤルで相談に応じています。現在も受給している人など、住所が分かっている人には、来年度から順次、給付されます。

Q 住所が分からない人には支給されないのですか。

A 厚労省が住所を特定できなかった人は、自分から名乗り出る必要があります。フリーダイヤルで住所や給付時期を伝えておけば厚労省が調べ、対象であることが確認されれば通知が郵送されます。ただ対象者が亡くなっているケースも予想され、全員への給付は難しそうです。 (この連載は大野暢子が担当します)

 

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