(筆洗)国が同性同士の結婚を認めないのは婚姻の自由を保障した憲法に反する - 東京新聞(2019年2月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019021502000145.html
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米国のブルース歌手、エタ・ジェームズが一九六一年にヒットさせた「AT LAST」という曲がある。
「AT LAST」とは「ついに」「やっと」の意味。やっと私の恋がかなった。寂しい日々はもうおしまい。つかみ取った幸せを歌っている。二〇〇九年の大統領就任祝賀パーティーで当時のオバマ米大統領と妻のミシェルさんがこの曲でダンスしていたのを思い出す人もいるかもしれない。
半世紀も昔の曲だが、米国では特定の機会に流れる定番ソングとなっている。お分かりか。結婚パーティー。とりわけ、同性カップルの結婚を祝う会でこの曲の人気は高いそうだ。結婚までの道程が険しい分「やっと」と歌うその曲と思いが重なりやすいか。
「AT LAST」と言える日を信じて日本の同性カップルたちが険しき道を歩きだした。国が同性同士の結婚を認めないのは婚姻の自由を保障した憲法に反するとして昨日、同性カップル十三組が東京、大阪、名古屋など四地裁に一斉に提訴した。
婚姻が認められねば、法定相続人にもなれぬ。具体的な不都合に加え、愛する者同士、法律上でも家族になりたい、平等に扱われたいというのは理解できる願いだろう。
同性婚への見方も変わった。先進七カ国(G7)で認めていないのは日本のみ。日本にだけ「AT LAST」の日が来ないことの方がよほど不自然であろう。