空き教室が博物館に 酒々井の2小学校に誕生:千葉 - 東京新聞(2019年2月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201902/CK2019021402000161.html
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酒々井町にある二つの町立小学校の空き教室に、旧石器時代から江戸時代の地元の様子を紹介するパネルや、明治時代以降の民具や農具、町内で出土した化石などを並べた「郷土資料館」が誕生した。実物を目の前で見学できる小さな博物館で、早速、児童が社会科の学習で活用を始めている。 (小沢伸介)
わらを家畜のえさにする飼い葉切り機やカイコの繭から糸を取る座繰機などの農具、炭を使うあんかやアイロンといった民具の他、一九六四年の東京五輪聖火リレーで使用したトーチ、町内の造成地で見つかった十五万年前のナガスクジラの骨なども。多くは町民からの寄贈品で、両校合わせて八十点。
町内に展示や収蔵のための施設がないため、町教委が学校教育に生かす目的で酒々井小と大室台小に均等に分け、それぞれで保管されていた。ただ、実際は教員が多忙で活用できていなかったという。
町教委が子どもたちのふるさと意識を育む学習プログラム「酒々井学」を二年前に導入し、その一環で資料館を本格的に整備することになった。酒々井学を担当する教育ファシリテーターの一場郁夫さん(58)が半年かけて準備し、開館にこぎ着けた。
大室台小では四日、三年一組の児童三十五人が授業で資料館にやって来た。展示品をスケッチし、何のためにどう使うかの予想、今の道具と似ている点、違う点などをワークシートに書き込んだ。今後、栄町の体験博物館「県立房総のむら」で昔の道具を実際に使う学習も予定している。
中平里沙さん(9つ)は「初めて見た足踏みミシンは、電気がなくても自分の体で今と同じように作れるのがすごいと思った。どんなふうに使うのか分からない」と話し、昔の生活道具に興味を深めた様子だった。
一場さんは「今は歴史の分野に偏っているが、これからは撮りためてある写真などで自然関係の展示を増やす予定。先生方にも地域に出てもらい、使えそうなものを持ち込んで調べ、資料館を進化させてほしい」と願う。