教員の仕事量どう削減 働き方改革論議 教研集会閉幕 部活指導、地域活動などの簡素化報告 前例踏襲から脱却を - 西日本新聞(2019年2月4日)

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/484240/
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学校現場で常態化する教員の「働き過ぎ」は解消できるのか-。北九州市で3日まで開かれた日教組の教育研究全国集会では、教員の働き方改革が大きなテーマになった。長時間労働の是正策を議論してきた中教審は1月、答申の中で時間外勤務の上限規制などを示したが、教員たちは実効性を疑問視。定数増や支援態勢の強化を求めつつ、前例に基づいた「学校あるある」からの脱却を訴えた。
2017年度から、教職員のパソコンによる出退勤管理を始めた新潟県。勤務時間外の業務を記録に残すなど意識して仕事の工夫に取り組んだという小学校の女性教諭(40)は、17年に107時間だった6月の超過勤務時間が18年、68時間に減った。「ただし、本来業務の教材研究はほとんどできず、自宅に持ち帰るなど数字に表れない勤務実態がある」と言う。
別の小学校で教科の年間計画や指導に携わる教務主任、体育主任の昨年6月の超勤はそれぞれ108時間と140時間。いずれも残業時間を「原則月45時間以内、繁忙期でも月100時間未満」とする中教審ガイドラインを軽く超える。
女性教諭は「個人の努力だけでは、多忙化の解消は困難だ」と訴えた。
教員の仕事量が減らないのはなぜか。福島県の小学校教諭、鈴木芳崇さん(41)は「従来やってきた教育活動を続けなければならないという思い込みと周囲の期待がある」と指摘した。勤務時間前のあいさつ運動、毎日の清掃や委員会活動、各種コンクールの取りまとめ、地域行事への参加…。必ずしも必要のないものも請け負ってきた。
鈴木さんは、勤務する学校で毎年行われる水泳やマラソンなどの校内大会を記録会と位置付け、体育の授業内で行えるよう改革を進める。「賞状作成や大会の記録などの業務が簡素化できる。『伝統』を見直す勇気も大事だ」と強調した。
業務改善では他にも多くの実例が示された。鹿児島県の小学校で複式学級の担任を務める男性教諭(50)は、一部教科担任制や研究授業の回数減による負担軽減策を報告。長時間労働の遠因とされる部活動について千葉県の中学校教諭は、冬場の基礎体力向上などのため複数の部活動による合同練習を行い、仕事量を減らしていると説明した。
学習指導要領の改定で授業時間数は増え、いじめや不登校など現場の課題は深刻化している。福岡県の小学校教諭(58)は「教員の大変さがようやく注目されるようになった。あくまで子どものことを第一に考えつつ、学校、家庭、地域、行政がそれぞれできることを考えていければ」と話した。