(大弦小弦) 学童スポーツの現場で… - 沖縄タイムス(2019年1月31日)

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学童スポーツの現場で子どもたちを感情的に怒鳴りつける大人を残念ながらよく見かける。時代とともに「体罰」は減ったが、大声や態度で威圧する指導は根強く残る

▼監督の罵声におじけづいた野球少年が見逃し三振して「えー、何してるか、フラー」とさらに怒鳴られる場面や、試合でミスしたサッカー少年がプレー続行中なのに腕立て伏せさせられる場面にも出くわした

▼勝利至上主義の弊害といわれるが、勝ちに結び付いてさえいない。子どもが萎縮して力を発揮できなければ逆効果だと気付くべきだ

▼先日、プロ野球DeNAの筒香嘉智選手が会見で「目先の勝利でなく子どもの将来を見据えた環境づくりを」と提言した。高校野球の過密日程や練習時間の長さ、少年野球指導者の暴言などを問題視し、改善を訴えた。球界を代表する選手の率直な言葉は重みがある

▼母親がお茶を用意し、監督の弁当を手作りする当番制の弊害を指摘。有力選手ばかり試合に出る現状を改め、多くの子にプレー機会を与える仕組みづくりも求めた。広い視野の提言に共感した保護者も多いのではないか

▼周囲の顔色を気にして、楽しくなさそうにプレーする子どもを見たい大人はいないはずだ。どんな競技もプロになれる子は一握り。多くの子が生涯にわたってスポーツ文化に親しめる環境をつくりたい。(田嶋正雄)