(大弦小弦) これまでの20年以上に及ぶ県や市町村との対話の… - 沖縄タイムス(2019年1月29日)


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「これまでの20年以上に及ぶ県や市町村との対話の積み重ねの上に、辺野古移設を進め、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現する」。28日、安倍晋三首相は施政方針演説でこう言った

▼「対話の積み重ねの上に」と「移設を進め」がつながらない。政府は1999年の閣議決定を「地元との合意」と強調するが、その後一方的に破棄した。2代続く新基地建設反対の知事の訴えには聞く耳を持たず、工事を強行している

普天間の危険性は、13年後といわれる新基地完成を待たなければ除去できないのか。13年もかかるのに「一日も早い」策とどうして呼べるのか

▼米軍に住宅地上空の飛行や深夜早朝の訓練をさせない、地位協定を改正し国内法順守を義務付ける。安倍首相が「かつてなく強固な絆」と胸を張る米国と全力で交渉すれば、現状は改善する

▼今できる外交努力もせず、危険性を放置する政府はこの日、新基地建設の新たな護岸工事を始めた。積み重ねているのは、同意なき既成事実と不信感ばかりだ

▼透けて見えるのは県民投票や参院選を前に工事を進めて屈服させようとする意図と、どちらが勝つかと高みの見物を決め込む多くの国民の姿。土砂投入の強行で異様さに気付く人も増えているが、あえて聞きたい。「あなたが沖縄の人ならどう思う」(磯野直)