(辺野古設計変更へ) 工事止め国会で検証を - 沖縄タイムス(2019年1月23日)


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なりふり構わぬ工事の進め方は異様というほかない。
名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は今春にも設計変更に着手する方針を固めた。埋め立て予定海域の大浦湾側に存在する軟弱地盤の改良工事に向け、年内に県に変更を申請する考えだ。
玉城デニー知事は変更後の計画を承認しない構えである。軟弱地盤は県が埋め立て承認を「撤回」した大きな理由だからだ。
防衛省沖縄防衛局の2014年から2年間のボーリング調査で多数確認されている。
防衛局はその事実を公表せず、市民らの情報公開請求で昨年3月、明らかになった。水深30メートルの海底に深さ40メートルにわたって地盤の強度が「ゼロ」のマヨネーズ状の超軟弱地盤が広がっている。
海底に基礎捨て石を敷き、その上にコンクリート製の箱「ケーソン」を置く計画だった。最大で長さ52メートル、幅22メートル、高さ24メートル、重さ7200トンに上るケーソンもある。軟弱地盤は極めて大掛かりな改良が必要となる。
新基地建設で埋め立てに約5年、施設整備などに約3年かかるとしていたが、県は軟弱地盤もあって工期は13年、費用は当初の約10倍に上る2兆5500億円に膨らむ見通しを示している。
環境への影響は計り知れない。環境影響評価(環境アセス)の前提が崩れるからだ。すでにジュゴン2頭の行方がわからない。サンゴの保全対策も不十分だ。
工事を止めた上で国会で全面的に検証すべきだ。

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沖縄防衛局は現在埋め立てを進めている海域の西側に隣接する区域で、3月25日から土砂投入を始めると県に通知した。約33ヘクタールに及び、現在の約6・3ヘクタールと合わせると予定海域全体(約160ヘクタール)の約4分の1に相当する。
今春までに大浦湾側でもサンゴを移植しないまま護岸工事に着手する方針を固めた。乱暴極まりない。
安倍政権はなぜしゃにむに突き進もうとしているのか。
民間桟橋から土砂を搬出、県の承認を得ずに土砂の細かな土の割合を高くして業者に発注、岩ズリの単価を1社だけの見積もりで決め、沖縄総合事務局が公表している単価を大幅に上回っている。
工事は疑問だらけだ。
県民投票まで工事を停止するようトランプ米大統領に求めるホワイトハウスの署名は賛同者が21万人に迫る勢いだ。国際的な動きも無視するのは暴走というしかない。

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今週、立憲民主党枝野幸男代表、国民民主党玉木雄一郎代表らが相次いで現場を視察。枝野氏は「海兵隊の大規模飛行場が必要なのか疑問だ。立ち止まるべきだ」と語った。玉木代表は「軟弱地盤の問題を再検討する必要がある。工事はいったん凍結すべきだ」と主張した。
今月28日から通常国会が始まる。政府からは工期や予算が示されないままである。税金の使い方の観点からも問題である。辺野古を巡る国会審議はこれまでも十分であったとはいえない。野党は「辺野古国会」と位置付ける気概で臨んでもらいたい。