(大弦小弦) 対照的な、あまりにも大きい言動の落差に接すると… - 沖縄タイムス(2019年1月19日)

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対照的な、あまりにも大きい言動の落差に接すると、私たちが向き合うべき相手が見えてくる。辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票の全県実施を求めてハンガーストライキを続ける元山仁士郎さん(27)と菅義偉官房長官のふるまいである

▼ハンストを続ける若者に対する政府の認識を聞く30秒に満たない記者の質問は、司会によって「簡潔にしてください」などと3度遮られた。官房長官はあざけるような表情を見せ、「その方に聞いてください」と述べるや会見場を後にした

▼「その方」が宜野湾市役所前でハンストを始めてから18日で4日目を迎えた。高齢の女性は元山さんの体調を必死に気遣い、40代の女性は「何もできずに申し訳ない」と涙をためた

▼元山さんは昨夜、「一人で始めたハンストだが、一人じゃないと気づくことができた」と述べた

▼有効署名約9万3千筆をもとに思い描いたのは、辺野古に新基地をつくっていいかどうかを県民みんなで悩み、考えようということである。子や孫に聞かれても答えられるような一票を投じよう、と

▼現状は5市長の不参加表明によって、元山さんらが描いていた議論には至っていない。ハンストはきょう5日目に突入する。政治的な立場を超えて全県実施と議論の活性化に向かうには今に生きる私たちの知恵が試される。(溝井洋輔)