奄美の中1自殺原因、一転「教職員からの指導」 - 毎日新聞(2019年1月16日)


https://mainichi.jp/articles/20190115/k00/00m/040/285000c
http://archive.today/2019.01.16-013622/https://mainichi.jp/articles/20190115/k00/00m/040/285000c

鹿児島県奄美市で2015年11月に市立中1年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題を巡り、自殺原因を「不明」としていた同市教委が一転「教職員からの指導」と認めたことが、関係者への取材で判明した。昨年12月に市の第三者委員会は直前の担任による指導が原因だったとする報告書を提出していた。市教委は近く文部科学省への報告を修正する。

三者委によると、要田憲雄・市教育長は生徒が自殺した翌日の臨時校長研修会で「いじめた側の子が責任を感じて自殺した」と説明。生徒の自殺直後に学校が実施した基本調査では「原因は特定できなかった」とし、文科省の生徒指導に関する統計調査でも市教委は16年に「生徒が置かれていた状況は不明」と報告していた。
しかし、調査を進めてきた第三者委は、担任の男性教諭が「同級生に嫌がらせをした」と思い込んで男子生徒にした指導とその後の家庭訪問での対応が不適切で、生徒を追い詰めたと判断。昨年12月に市に提出した報告書で「亡くなった理由を正確に公的記録に残すことは、市教委と学校が事実に向き合うために不可欠」と市教委に文科省報告の修正を求めていた。
市教委の元野弘・学校教育課長は毎日新聞の取材に対し「基本調査などで自殺原因が特定できず『不明』と報告していた。第三者委の提言を真摯(しんし)に受け止めて、修正を決めた」と話した。文科省によると修正は異例。
生徒の父は「学校や市教委は、自殺直前に担任が指導していたと当初から知りながら『不明』と報告し、事実関係をあいまいにして責任逃れをしようとしていたのではないか。学校や市教委は自ら検証すべきだ」と語った。【樋口岳大】