(斜面)新聞には大きな役割がある。対策を国やSNS事業者任せにしたくない - 信濃毎日新聞(2019年1月16日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090005000.php
http://archive.today/2019.01.16-013901/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090005000.php

沖縄の基地建設に反対する人々を虚偽や侮辱を交えて激しく攻撃してきたウェブサイトがある。ネットの世界では既存のメディアよりも情報の拡散力が強い。その編集の手引ともいえる「社外秘」の資料を地方紙の琉球新報が入手した

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こんな指南がある。タイトルは大げさに、「衝撃の結末が」などクリックしたくなる隠し方を―。執筆者は階級分けされ記事の報酬は公開2日後に会員制交流サイト(SNS)の共有数を基に決める。記事が拡散するほど運営者の広告収入は増えていく

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新年の連載「沖縄 フェイクを追う」で明らかにしている。同紙は昨年の県知事選で「ファクトチェック」を試みた。フェイク(偽)ニュースを監視し、真偽の結果を読者に伝える。その取材班が引き続きフェイクの発信者を追っている。特定は困難を極め闇の深さは底知れない

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SNSは「いいね」などのデータから個人の信条や趣向に合う情報を流す。好みの情報にばかり接すると、異なる考えを認めず偏見や先入観が強まる。偽情報に染まりやすい環境だ。知事選では情報を自動で拡散する「ボット」の機能も使われたという

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3年前の米大統領選でも偽情報を広げた仕組みである。人の口に戸は立てられない。ましてネットでつながり、ひともうけをたくらむ発信者がいれば、偽情報はあふれ出る。民主主義は事実を共有してこそ成り立つ。新聞には大きな役割がある。対策を国やSNS事業者任せにしたくない。