ゴーン前会長、きょうにも保釈 法の定める条件 厳格判断 - 東京新聞(2018年12月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122102000125.html
https://megalodon.jp/2018-1221-0906-26/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122102000125.html

カルロス・ゴーン被告とグレゴリー・ケリー被告について東京地裁は、検察側が求めた勾留延長を認めないという異例の決定を出した。両被告が事実関係をおおむね認めている上、再逮捕容疑は最初の逮捕とほぼ同じ。地裁はこういった事情を考慮し、法律が定める許可条件を厳格にとらえ、さらなる身柄拘束の必要はないと判断したもようだ。
刑事訴訟法は、逮捕された容疑者が十日間勾留された後、裁判官が「やむを得ない事由がある」と判断した場合に限り、延長が認められると定めている。
通常の経済事件などでは、裁判所が勾留延長を認め、容疑者は計二十日間勾留されるケースが多い。
軽微な事件の場合は延長が認められないこともあるが、検察当局が威信をかける特捜事件での却下は異例だ。
ある元特捜検事の弁護士は「却下は聞いたこともない。いつもこちらの要求通りに延長を出してくれていた」と驚く。元裁判官も「大きな事件では延長を認めるのが通例」としつつ、「既に捜査は尽くされていると判断したのだろう」と推察した。
今回の勾留にかかる再逮捕容疑は、ゴーン被告の報酬を虚偽記載したというもの。最初の逮捕も、容疑事実の時期こそ違うが、構図は同じだ。
さらに、両被告は「記載義務はなかった」と否認しているものの、ゴーン被告の報酬の一部を記載しなかったことや、不記載分を退任後に受け取ろうとしていたことなど、事実関係はおおむね認めている。
あるベテラン裁判官は「同じ虚偽記載でも、再逮捕分は時期など内容が異なるから、一度は勾留を認めたのだろう。今回は、延長までして強制捜査を続ける必要はないと判断したのではないか」とみる。
法曹関係者には、「裁判官が世論を意識したのだろう」とみる向きもある。
欧米のメディアを中心に、長期勾留への批判が高まっていることも、地裁の判断に影響した可能性がある。 (池田悌一、蜘手美鶴)