<税を追う>防衛省、米兵器ローン急増 支払い延期要請1104億円 - 東京新聞(2018年12月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018122002000147.html
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防衛省が国内の防衛関連企業六十二社に二〇一九年度に納入される装備品代金の支払い延期を要請している問題で、要請総額が千百四億円に上ることが分かった。米国製の高額兵器の輸入拡大で、後年度負担と呼ばれる兵器ローンの返済が急増、一九年度予算で支出削減を迫られていた。企業の多くは要請に反発しており、最終的に支払いを延期できるのは数十億円程度にとどまるとみられる。 (「税を追う」取材班)
立憲民主党白真勲(はくしんくん)参院議員がこの問題に関する質問主意書を提出し、政府が十八日、要請総額を回答した。
複数の関係者によると、防衛省は十一月二日と五日の二回に分け、航空機や艦船の部品を扱う国内のメーカーや商社六十二社を同省に呼んで説明会を開催。一九年度に納入される部品の契約を変更して追加発注をする代わりに、代金の支払いは追加分が納入される二一〜二三年度に一括して行うと提案した。企業の多くは「資金繰りに影響が出る」などと要請に応じていないとされる。
この問題は十一月末に本紙報道で明らかになり、白氏が今月六日の参院外交防衛委員会で「支払いを待ってくれないと、予算がオーバーするのか」と追及。岩屋毅防衛相は「部品の調達量を追加するため」としながらも「過去にこのような事例はない」と異例の措置であることを認めた。
岩屋防衛相は「もし(支払い延期が)可能になっても十億円ぐらいの金額ではないかと思っている」と答弁しており、最終的に数十億円程度にとどまる可能性が高い。防衛省は支払い延期に応じた企業に追加発注する部品代の総額を一九年度予算案に計上する。
防衛省はこれまで、支払い延期要請の総額を明らかにしていなかったが、ある防衛関連商社の幹部は「数量や代金支払時期の変更は、大きな契約変更で内々でやる話ではない」と批判。今回、防衛省が一千億円を超す多額の支払い延期を求めていたことが明らかになり、兵器の輸入増大が防衛費を圧迫している実態があらためて浮き彫りになった。白氏は「米国製兵器の輸入で歳出が大幅に伸び、既存の装備品の大幅な支払い延期を求めるとは、本末転倒だ。新たな防衛大綱も米国製兵器の購入ありきになっていて、防衛省内で本当に必要なものを精査しているのか疑問だ。国会で説明を求めていきたい」と話している。