平和ないと生きられない 9条なりきりソング作曲・タマ伸也さん - 東京新聞(2018年12月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121802000251.html
http://archive.today/2018.12.19-000445/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121802000251.html

憲法9条に口があれば、こう問いかけるはずだ。「私はあなたの平和がなければ とても一人では生きていけません」−。3人組のコミックバンド「ポカスカジャン」のボーカル兼ギターで、ソロのフォークシンガーとしても活躍するタマ伸也さん(50)が、メッセージソング「私の名前は憲法9条」をつくった。改憲に前のめりな安倍政権への批判とも受け取れる内容だけに「大丈夫?」と心配するファンもいるが、タマさんは「フォークってそういう在野なものでしょ」とひょうひょうと語る。 (山本哲正)
ズンチャッ、ズンチャッと軽快なイントロに続いて「わ・た・し・の」と歌いだす。ジャズの源流とされる「ラグタイム」調のメロディーが心地よい。東京・渋谷の稽古場で練習中のタマさんは「九条は平和なキャラクターだから曲調も平和にと心掛けた」と笑う。
歌詞は「戦争はしません 戦力も持ちません」と平和主義を繰り返し説き、「私を変えようと する人がいます」と改憲派をけん制する。戦地での死にも触れる。「ライブでは、九条の条文そのまんまを最後にリフレイン。お客さんと大合唱です」とタマさん。
改憲を巡る議論に、「平和主義がどこか置き去りになっているようだ」とモヤモヤした気持ちが膨らんで企画した。護憲・反戦を終生訴えたタレントの故永六輔さんの顔も浮かんだ。生前よくしてもらった永さんにも聴いてほしかった。
タマさんは大久保ノブオさん、省吾さんと一緒に、「ポカスカジャン」を一九九六年結成。アイスキャンディーのコマーシャルソング「ガリガリ君のうた」などを手掛けた。
二〇一三年からはソロ活動をスタート。昨年からは、いろいろな人やモノになりきる「入ります」シリーズを始めた。これまでジョン・レノンや風に「入った」。その人やモノが伝えたいだろうことを自分なりに理解できた瞬間、「曲作りが広がる扉のドアノブが見つかったようだ」と感じる。反戦歌を歌ってきた経験から九条のドアノブは、最初からありかが分かっていた。
タマさんは「ぼくらは戦争を体験したことがなく、どうしても学ぶしかない。あとは想像力。平和主義の話をしたい。一緒に歌って」と呼びかける。
「私の名前は憲法9条」は、11月発売の最新ソロアルバム「入りますCD2」(全8曲税別1000円)に収録。憲法のほか、故忌野清志郎さん、吉幾三さんなどに「入った」。現在全国ツアー中。問い合わせはワハハ本舗=電03(3486)2666=へ。

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私の名前は 憲法9条

私には手も足も ありません

私には言葉しか ありません

私の名前は 憲法9条

戦争はしません 戦力も持ちません

戦争するのも 認めません

これが私の 全てなんです

私の名前は 憲法9条

(中略)

私を変えようと する人がいます

私を守る 人もいます

人は私を 夢想家と呼ぶのです

あなたにとっての 平和とは何ですか?

あなたにとっての 主義って何ですか?

私はあなたの

平和がなければ

とても一人では

生きていけません

(以下略)