<税を追う>過去最大の補正、防衛省要求 「第二の財布」に巨額注ぐ - 東京新聞(2018年12月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000138.html
https://megalodon.jp/2018-1213-0924-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000138.html

のし掛かる高額兵器購入のツケ−。防衛省が二〇一八年度の第二次補正予算で、過去最大規模の三千六百億円余りを要求していることが明らかになった。安倍政権になってから防衛費は毎年過去最高を記録しているが、米国製兵器の輸入拡大で、それでも足りない状況に。補正予算という「第二の財布」を膨らませ、巨額の税金を注ぎ込む構図が浮かび上がった。 (「税を追う」取材班)
防衛省の一九年度予算編成に大きな歪(ゆが)みが起きているようだ」
二週間前、ある防衛関連企業の社員は本紙の取材にそう漏らしていた。防衛省は毎年必ず、同社から装備品を購入していたが、一九年度は予算不足を理由に見送られたからだ。「一八年度の補正予算で買ってもらう方向で調整している」と社員は明かした。
防衛省の異変をかぎ取っていたのは、この社員だけではない。業界では「一九年度予算でローン返済に困っている」という話が広がっていた。
十二日の自民党国防部会で、防衛省が示した二次補正予算案の概要。配布資料には三千六百億円規模の予算額のうち、ヘリや輸送機などの整備として三千百七十七億円が明記されていた。
防衛省関係者によると、この費用の多くは兵器ローンの返済。一九年度当初予算案の編成に当たり、当初の要求額に盛り込んでいた返済額の一部を一八年度補正予算に組み替えたものだという。つまり来年度の当初予算の枠内に収まりきらない返済額を、前倒しで本年度の補正に回した形だ。
こうした「裏技」は、近年の米国製兵器の大量購入に伴い、一四年度以降、毎年のように多用されるようになった。ローン払いが急増し、当初予算を圧迫するようになってきたからだ。
岩屋毅防衛相も先月末の記者会見で、「有り体に言えば、やりくりも大変」と苦しい財政事情をこぼしている。国産兵器を含めたローン残高は本年度、五兆円を突破。補正の裏技だけでは、もはや対応しきれないところまで来たのだろう。
防衛省は先月、取引先企業六十二社を集め、追加発注する代わりに支払い延期を求める異例の要請を行った。要請を受けた企業の幹部が「来年度払わなきゃいけないカネを捻出するのに、防衛省は本当に切羽詰まっている。大変だよ」と同情するほどだ。ただ、支払い延期に応じてもらえる見通しは、現時点で十億円程度。厳しいやりくりに変わりはない。
軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「『リボ払い』の枠を増やそうという話で借金をさらに重ねるだけ。米国に貢ぐのが国防みたいな形になっている。金銭感覚を身に付けるほうが先だ」と指摘。「臨時国会が閉じたこのタイミングで、二次補正を編成するのは不健全だ」と批判している。