<金口木舌>民営化の行く末は - 琉球新報(2018年12月9日)

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ペットボトルの飲料水が一般的になったが、なければ水道水を飲めばいい。だが、水道水を気軽に飲める時代は長く続かないかもしれない
▼国会で水道法改正案が可決された。海外で民営化による水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いだことから、国や自治体が監視できる仕組みにしているが、百戦錬磨の海外企業を地方自治体や議会がどこまでチェックできるか未知数だ
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「華氏119」で小さな子どもたちが体調不良を訴え、泣き叫ぶシーンがある。ミシガン州フリントで利益を優先した企業が安全性を軽視し、高濃度の鉛に汚染された水が一般家庭に流れた
ボリビアコチャバンバでは企業側がダム建設を理由に最大で200%水道料金を値上げ。支払えない世帯へのサービスを打ち切った
▼水道管の老朽化による取り換えなど費用はかかるが、安全な水は国民が健康的な生活を営む上で不可欠なライフライン浦添市の公園では市から管理を委託された民間団体が効率を優先して除草剤を散布したが、水道事業でも同じようなトラブルが起きないとは限らない
▼公共サービス国際研究所によると、2000〜15年に世界37カ国235自治体が民営化した水道事業を再び公営に戻した。国民に不利益が生じた場合、速やかに公営に戻す勇気も見習いたい。