<税を追う>取材班から ローン地獄、反省なく - 東京新聞(2018年12月4日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120402000174.html
https://megalodon.jp/2018-1204-0909-55/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120402000174.html

あれも欲しい、これも欲しい。ローンでどんどん買っているうちに借金が膨らみ、気がつくと、首が回らなくなっていた。そこで債権者に泣きつき、返済を待ってもらおうと頼み込む。
ローン破産者の身の上話ではない。日本の安全保障を担う防衛省の話だ。
安倍政権で顕著になった兵器ローンの増大で、防衛省が多くの防衛関連企業に「支払い延期」を申し入れたことが分かった。ある商社の幹部は「今年度、来年度の歳出化経費(ローン返済費)が足りないって聞いていた。業界みんな知ってるよ」と言う。
防衛省の「ローン地獄」は業界では周知の事実だった。払っても払っても返済が追いつかず、二〇一八年度予算で、残高は五兆円を超えた。民間企業ならこんな野放図な買い方はできない。ところが、政府から反省は聞こえてこない。
月内に新しい防衛大綱や中期防衛力整備計画が発表される。情報だと、財布のひもを締めるどころか、さらに米国製の高額兵器を購入する勢いだ。
ローンを返せないなら手元の金を増やせばいい−。自転車操業に陥った原因や責任を省みず、そんな発想は許されない。いくら国防のためとはいえ、際限なき兵器購入のツケは国民に回ってくる。 (中沢誠)