福島事故後 ドイツの取り組み取材 今月、都内2館で上映:首都圏 - 東京新聞(2018年12月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201812/CK2018120202000169.html
http://archive.today/2018.12.03-011933/http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201812/CK2018120202000169.html

東京電力福島第一原発事故を受け、脱原発に向かうドイツ。その取り組みから日本の将来へのヒントを探ろうと、現地の市民や地域の活動を取材したドキュメンタリー映画「モルゲン、明日」が十二月、東京都武蔵野市アップリンク吉祥寺など都内二館で上映される。映画のタイトル「モルゲン」はドイツ語で「明日」。群馬県みなかみ町在住の坂田雅子監督(70)は「小さな一歩が大きな変化に結び付く。明日に向かってともに一歩を踏み出しましょう」と呼び掛ける。 (石井宏昌)
「映画作りの動機は『なぜ』という疑問」と話す坂田監督。福島第一原発事故後、「どうしてこんなことに」と原発や核問題をテーマに取材。ビキニ環礁のあるマーシャル諸島など核実験被害地、原発が多く立地するフランスなどを巡り、二〇一四年にドキュメンタリー「わたしの、終わらない旅」を発表した。
今作品では「脱原発に向かうドイツと、事故当事者なのに原発再稼働が始まっている日本との違いは何か」という疑問の答えを探すため、一五〜一七年にドイツ各地で取材を重ねた。
脱原発や環境問題の有識者、風力や太陽光発電など再生可能エネルギーに取り組む市民や地方自治体、電力会社、政治家、修道僧、教育現場などさまざまな立場の五十人以上にインタビューし、映画では十数人の声を中心に紹介している。
坂田監督は「ドイツを脱原発に導いたのはメルケル首相の力だけでなく市民の草の根運動があったから。地方の小さな村で住民が出資して風力発電所を設置した事例もある」と指摘。「一人一人の力は小さいが集まれば社会を動かすことができる。日本でも、私たちでも、できるということを伝えたい」と話した。
上映は二館とも午前。アップリンク吉祥寺が十四〜二十日で、十八日までの各日、上映後に坂田監督がゲストと対談予定。二十二〜二十八日は渋谷区のアップリンク渋谷で、二十四、二十七、二十八日に対談を企画する。問い合わせはアップリンク渋谷=電03(6825)5503=へ。