https://biz-journal.jp/2018/11/post_25694.html
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25694_3.html
以上より、財務省が最初から存在しない埋設ごみを理由に格安に値引こうとしたことは明らかである。もしこの格安払い下げが、財務省近畿財務局が主導して画策したものであれば、この土地を所有していた国交省大阪航空局としては、その分売却収入が減り損を被ることになるが、なぜ国交省がチェックしなかったのかが疑問となる。逆に国交省が主導してなんらかの理由でそのような格安払い下げを行おうとしても、財務省は国有財産払い下げのルールがあり、勝手なことは許されない。
つまり、2つの省庁の利害を超えた政治が働き、このような不法な格安払い下げが行われたことが事実であり、その点の解明ももちろん課題となるというのが、小川議員の見解である。結局、国が新たな埋設ごみの存在を立証すると提出した資料が、偽装と虚偽記載満載の写真資料であったことが、小川議員の粘り強い追及と、それに協力する専門家や市民団体による画像分析の結果わかったといえる。
なお小川議員による11月5日の記者会見は、11月6日に共同通信が報じ(『森友ごみ、同一点2カ所と記載か 立憲参議院議員が指摘』)、この配信を受けて、中国新聞、岐阜新聞、岩手日報、山形新聞、秋田さきがけ新聞、長崎新聞、南日本新聞、琉球新報、信濃毎日、京都新聞、神戸新聞、愛媛新聞、静岡新聞、北海道新聞、西日本新聞、東京新聞など20社以上の地方新聞社が報道している。
そして、11月6日の国会でも、この問題が取り上げられ、「森友学園への国有地売却問題を巡り、国土交通省の担当者は6日の野党合同会合で、国が(略)ごみがある根拠とした現場写真には同一地点を別角度から写し、別の地点とした疑いがあるとの指摘を受け、事実関係を確認する意向を示した」(11月6日付共同通信記事より)と報じられた。
一枚の写真の偽装と、その裏に隠された政治の思惑。いよいよこの写真偽装問題は、国会での論議の俎上に本格的に上り、会計検査院の再報告や検察審査会での審査結果に影響を及ぼすことが考えられる。米国におけるウオーターゲート事件も、当時の共和党、ニクソン大統領は、民主党への盗聴行為で逮捕された実行者とは無関係だと距離を置いていたが、一つひとつの事実や写真の分析、ワシントンポスト紙などの粘り強い調査報道によって、関与が否定できなくなり、2年2カ月後に辞任に追い込まれた。ニクソン大統領は、当時再選を果たし圧倒的な人気のなかで、不法行為を問われて辞任した。
振り返って、今回の森友事件が、首相に忖度した一部の官僚たちが勝手にやったことなどとすますことはできない。省庁を超えて組織的に取り組まれた疑獄事件であることは、小川議員も指摘している。一人の職員を死に追いやった疑獄事件の解決に向けて、扉が1枚の写真によって開かれつつあると考えたい。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)