郷原弁護士「特捜部はチャンスだと思ったはずだ」カルロス・ゴーン容疑者逮捕の背景に「司法取引」をアピールしたい検察の思惑も? - AbemaTV/『AbemaPrime』(2018年11月21日)

https://abematimes.com/posts/5278762?categoryIds=92058
http://archive.today/2018.11.21-061645/https://abematimes.com/posts/5278762?categoryIds=92058

「導入の発端になったのは大阪地検での問題など、一連の検察不祥事だった。特捜の捜査がデタラメだということがバレてしまったため、検察も取り調べでガンガンやるそれまでの"調書中心主義"から脱却し、新しいスマートなやり方にしようと考えた。当初、私が『検察の在り方検討会議』に参加していた頃には司法取引の話は全く出ていなかったが、検察改革の動きの最終段階で出てきて、いつの間にか"取り調べの可視化"と一緒に盛り込まれてしまった。検察としても長年の悲願だったので導入が決まった。しかし不祥事を発端にして、検察はおいしい武器を手に入れた、"焼け太り"だという指摘も出た。司法取引の協議が整って合意が成立すると、合意書面を作って裁判所に証拠請求をしなければならない。これが"透明化"だと言われている。それまでは検察官が自分の権限の範囲内で"取引"していたが、それを透明化しようということだ。ただ、これは最終的に裁判で使われる時だけで、起訴されず、証拠として使われなければ闇に葬り去られることになる。また、アメリカの場合は"自己負罪型"といって、自分がたくさんの罪を犯している時に"一部を自白するから他のものは勘弁してほしい"という取引ができる。アメリカでは司法取引の7〜8割がこの自己負罪型だ。これに対し、日本で導入されたのは"他人負罪型"だけで、"他人の犯罪について捜査協力するから、自分の犯罪については処罰を軽減してほしい"というもの。日本人は自白する人が多く、自己負罪型が馴染まないというのが理由だった。ただ、共犯関係でなければ、他人の犯罪についてそうは知っていないはず。だから使い勝手が悪いし、中途半端だ。そうした様々な問題点があるので、国会での法案審議の時には私も参考人として出て相当反対した」。
その上で郷原弁護士は、今回の司法取引について「検察が日産という会社と取引が成立して法人処罰を免れさせるケースと、実際に犯罪に関わった行為者が刑を減免してもらうというケースの2パターンが考えられる。現時点の報道ベースでは後者の方のようだ。ただ、今回の件で行為者の協力というのはピンとこない」と話す。
有価証券報告書は会社が作るものなのに、その虚偽記載でゴーンさんが逮捕されたということに驚いた。意味が分からなかったし、何が司法取引なのか、ますます分からなくなってきた。報道によれば、役員報酬を年間20億円くらいだと書かないといけないところを10億くらいと書いていたという話だが、有価証券報告書の作成には色々な人が関わる。彼らが知らなかったということであればまだわかるが、分かっていた話のはずだ。それについて司法取引に協力して、喋ってあげれば勘弁するよという話。検察に得になることがあるのかな、という感じがする。ひょっとすると、最初から司法取引にピッタリなものがあったというわけではなくて、色々情報提供を受ける中で、"これ、司法取引でいけるんじゃないか"という話がまとまったので、それで行くことにした、という後付けなのかもしれない。初適用の三菱日立パワーシステムズ事案では、法人処罰を免れさせる代わりに、役職員の処罰・捜査に協力するというものだった。下の人間に協力させて上の人間をやっつけるはずが、会社の処罰を免れさせて社員をやるのか、話が違うだろうということで評判が悪かった。そこで検察はゴーン容疑者の逮捕でアピールすることによって、世の中の人に司法取引を知ってもらえる良い事案だと考えたのだろう。それが狙いだ」との見方を示した。