「改憲」テーマで京都府が共催降りる 京都弁護士会の集い - 京都新聞(2018年11月7日)

https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181107000015
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京都弁護士会が18日に開く「第48回憲法と人権を考える集い」で、例年共催していた京都府が今回は共催を降り、京都市も後援を断っていたことが6日、分かった。今年は改憲がテーマで、府と市は「中立性が担保できない」としている。前回までは府内の全市町村が後援していたが、府の動向を踏まえるなどして多くの自治体が後援を見送った。弁護士会は「中立性には配慮した。行政の姿勢は改憲の議論自体を遠ざける」と疑問を投げ掛ける。
集いは1971年に始まり、長年、府や京都市が共催や後援してきた。今年は18日に同志社大上京区)であり、自民党憲法改正案の問題点を指摘している首都大学東京の木村草太教授が「憲法の未来」と題して講演する。府内の高校生も、憲法9条の改正について議論を重ねた成果を発表する。
府人権啓発推進室によると、弁護士会から木村教授が改憲について自説を話すとの説明があったといい、府の審査基準に「政治的な内容を含むものでないこと」と定めていることから、「趣旨や内容は否定しないが、行政として政治的中立性の確保が難しい」と共催見送りを決めたという。
市も「政治的色彩を有している」を後援不許可の基準としており、市人権文化推進課は「改憲がテーマで、総合的にみて抵触すると判断した」と説明する。
宇治市は後援承認後に取り消しており、「府や京都市が政治的中立性を問題視したと弁護士会から連絡を受け、再考した」とする。舞鶴市も一度は後援を承認したが、府の動向を参考に、最終的に後援しないことを決めたという。
今回、後援する自治体は南丹市京丹波町大山崎町のみ。京丹波町の担当者は「広く憲法の知識を得てもらう場になり、住民にとって有意義だ」と話す。
共催や後援を受けると、ちらしに自治体名を明記できて催しの信頼性が高まるほか、告知で自治体の協力が得られて広く周知できる利点がある。
弁護士会の浅野則明会長は「集いは問題点を提起し、府民と考えようという趣旨。それを政治的とされるのは、長い間、行政と憲法について一緒に取り組んできただけに残念だ」と話す。

■逃げ腰の表れだ

毛利透・京都大教授(憲法)の話 たとえ改憲がテーマでも公平公正に議論することは十分可能だ。改憲が政治課題として浮上する中、「偏っている」との批判が向けられるリスクを冒したくないという自治体の逃げ腰の表れだろう。自治体が特定の催しに共催や後援を行う義務はないが、公権力には憲法や人権を守る普遍的な義務があり、周知についても積極的な役割を果たすことが求められている。