<金口木舌>外国からの労働力に頼る前に - 琉球新報(2018年11月10日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-831842.html
http://web.archive.org/web/20181110003941/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-831842.html

資質どころか人間性を疑う。青森市議に初当選した男性がツイッターで「片腕落として障害者雇用」などと投稿していた

▼「障害者差別解消法」の趣旨にも反する。社会の不平等を是正し誰もが暮らしやすい世の中をつくるのが議員であるはずだ。真逆の考えでは務まらない
▼かつて日本では、旧優生保護法に基づき、障がい者不妊手術を強制していた。社会的弱者を多数派のために切り捨てる思想は野蛮の極みだ。現代社会では、障がいの有無にかかわらず人と人が支え合うことが強く求められる
与那原町で開催された雇用・就労支援フォーラムで元法政大大学院教授の坂本光司氏は「日本企業にとって難しいのが障がい者雇用だ」と述べた。採算性を重視するあまり、障がい者雇用が進んでいない実態がある。一方で、少子高齢化が進み、労働力不足が指摘されている
▼政府は外国人労働者の受け入れを拡大するため入管難民法などを改正する方針だ。外国からの労働力に頼る前に、障がい者に働く機会をより多く提供できる共生社会の実現に本腰を入れるべきではないのか
▼県内で開催された全国アビリンピックでは障がいのある人たちが真剣に課題に取り組む姿が印象的だった。障がい者の法定雇用率を水増しした中央省庁の罪の重さを痛感する。まずは政府自身が心を入れ替え、率先垂範することだ。