(余録)二宮金次郎像は、かつて小学校校庭の… - 毎日新聞(2018年10月21日)

https://mainichi.jp/articles/20181021/ddm/001/070/168000c
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二宮金次郎(にのみや・きんじろう)像は、かつて小学校校庭の定番だった。まきを背負いながら本を読み歩くこのスタイル、一説によると1891(明治24)年に出版された「二宮尊徳翁」(幸田露伴(こうだ・ろはん)著)に載ったさし絵のイメージが起源だという。
いまの子どもたちも重荷を背負いつつ、勉強に励んでいるようだ。小学生の使うランドセルがここ数年、重くなっている。大手ランドセルメーカーの調査によると、1週間で最も重い日の総重量は6キロにも達する。
ランドセルが重くなっているのは「ゆとり教育」の見直しなどで教科書の分量が増し、大型化しているためだ。小学教科書のページ数は10年間で3割以上増えたとの別の調査結果もある。背中にずしりと重さを感じて通学し、児童の3割が首などに痛みを感じているという。身体への影響も軽視できない。
そんな状況を受けて文部科学省は先月、教材を学校に置いて帰ることを事実上認める通知を出した。「置き勉」と呼ばれる方法で、家庭学習の妨げになるとしてこれまで多くの教育現場で認めてこなかった。
国の通知を受けて「置き勉」を解禁する小学校は増えているようだ。肩の荷が減るのは子どもたちにとって、まずは朗報といえよう。それでも再来年から小学3年生以上で英語が必修化されるなど、教材が増える傾向は変わりそうもない。
全教科を合わせた教科書の総ページ数を増やさないような発想もそろそろ必要ではないか。教室に置かれたままの教材がふくらんでいく光景はいびつだ。