https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181017/k10011675141000.html
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ツイッターに裁判の当事者を傷つける内容の書き込みを行ったとして、懲戒を申し立てられた東京高等裁判所の裁判官に対して、最高裁判所は、「裁判官の品位をおとしめた」として、17日付けで戒告の処分にしました。SNSの発信をめぐって裁判官が懲戒処分を受けるのは初めてです。
戒告処分を受けたのは、東京高等裁判所の岡口基一裁判官(52)です。
岡口裁判官は、みずからが担当していない裁判についてのツイッターへの書き込みで裁判の当事者を傷つけたとして、ことし7月に東京高裁から懲戒を申し立てられ、最高裁判所で裁判官の処分を審理するための「分限裁判」が開かれました。
この中で岡口裁判官は「表現の自由の侵害で、裁判官の独立をおびやかす」と主張していました。
17日の決定で最高裁判所大法廷の大谷直人裁判長は「問題のツイートは、裁判の原告をからかったと受け取れる表現で、原告が裁判を起こしたことを一方的に不当だとする認識を示している。裁判の公正を疑わせるもので、裁判官の品位をおとしめた」と指摘しました。
そのうえで「裁判官にも表現の自由があることは当然だが、岡口裁判官の行為は表現の自由として許される限度を逸脱したものだと言わざるをえない」として戒告の処分にしました。
決定は、審理に当たった裁判官14人全員一致のものでした。
SNSの発信をめぐって、裁判官が懲戒処分を受けるのは初めてです。
東京高裁「重く受け止めている」
東京高等裁判所の岡口基一裁判官(52)が最高裁判所から戒告の処分を受けたことについて、東京高等裁判所は「所属する裁判官が戒告されたことは遺憾であり、重く受け止めている」というコメントを出しました。
専門家「処分は行き過ぎ」
17日の処分について、インターネットをめぐるトラブルや法律に詳しい成城大学法学部の町村泰貴教授は「裁判官であっても表現の自由は守られるべきで、ツイートを理由に処分をするのは行き過ぎなのではないか」と指摘しています。そのうえで「ツイートという言論の内容が問題であるならば、裁判所も言論で返すべきだ。今回の処分によって事実上、裁判官はインターネットを使った意見発信が難しくなり、萎縮せざるをえなくなるのではないか」と述べました。