山形県弁護士会 加害者家族にも光を 生活再建へ窓口 - 毎日新聞(2018年10月11日)

https://mainichi.jp/articles/20181011/k00/00m/040/184000c
http://archive.today/2018.10.11-063149/https://mainichi.jp/articles/20181011/k00/00m/040/184000c

犯罪加害者の家族が社会から孤立するのを防ごうと、山形県弁護士会は10月中に、全国の弁護士会で初めて加害者家族の支援に乗り出す。転居や進学・就職の断念に追い込まれるケースもあることから、相談窓口の設置をはじめ、加害者本人の弁護を通じて家族の生活再建も担う。加害者家族の支援が再犯の抑止につながるとの考え方が根底にあり、他の弁護士会にも同調の動きが広がる可能性がある。
加害者家族の相談機関は欧米では一般的だが、日本ではわずか。家族も連帯責任を負うという風潮が優先され、加害者側にいる後ろめたさから誰にも相談できず苦しむ人は少なくない。山形県弁護士会はこうした実態の把握を、加害者家族を支援するNPO法人「ワールド・オープン・ハート」(仙台市)の協力を得て2015年から進めてきた。
同法人が09年から16年3月に対応した加害者家族920人の相談内容を見ると、相談者の約9割が「自殺を考える」と回答。インターネットを含む周囲の中傷で、転居や進学断念を余儀なくされたケースも多く、殺人事件の場合は大半が転居に追い込まれていた。
同会はこうした状況を踏まえ、加害者家族のケアは家族の自殺防止や、加害者の社会復帰後の居場所づくりにつながると判断。今年9月に「犯罪加害者家族支援委員会」を発足させた。構想では、相談窓口の設置に加え、会員弁護士に加害者家族支援団体の研修を受けさせる。宅建業協会や社会福祉士会とも連携し、転居の手伝いから、刑を終えた加害者を受け止めるための精神的ケアまで、支援のモデルづくりを進める。
初代委員長の遠藤涼一弁護士は「加害者家族は『世間』の被害者ともいえる。実態を明らかにして問題提起したい」と話す。
犯罪被害者支援に詳しい諸沢英道・元常磐大学長(被害者学)は「加害者の更生を考えると、社会の居場所としての家族の存在は欠かせない。家族の責任が問われる例もあり、被害者側の反発も考えられるが、再犯防止という大きな流れで考えれば評価できる」と指摘している。【飯田憲】