<金口木舌>「笑い」の力 - 琉球新報(2018年10月7日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-815044.html
http://archive.today/2018.10.07-012728/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-815044.html

学生時代、ノートの端に少しずつずらした絵を描いた。素早くめくることで動いて見える。最近、この「パラパラ漫画」ならぬ、「パラデル漫画」が評判だ

吉本興業所属の芸人、本多修さんが作り、動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信した。絵や写真が飛び出して見える。どう作ったか想像できない不思議な映像で、何度見ても飽きない。神奈川県が政策を伝える動画に採用した
▼沖縄にもアイデアあふれた配信で人気を集めるユーチューバーがいる。その名も「せやろがいおじさん」。配信しているのは沖縄のお笑いコンビ「リップサービス」の榎森耕助さん。約1カ月で再生回数約23万回を記録した動画もある
▼美しい沖縄の海を背景に世間の話題や時事問題に鋭く突っ込む。ドローン(小型無人機)で撮影された斬新なアングルと榎森さんの動きが笑いを誘う。沖縄の政治の問題は取り上げてこなかったが、知事選に関する動画を1日に配信した
玉城デニー氏の当選で「沖縄、終わった」と投稿する人々に反論した。迷ったというが、「戦後、沖縄を終わらせないように多くの県民が頑張ってきた。どうしても受け入れられない」と考えた
ナチスヒトラーを批判したチャプリンの映画「独裁者」のようにメッセージを笑いにくるむことで、より広く思いを届けることができる。榎森さんの挑戦に注目したい。