<南風>自分で判断し行動 - 琉球新報(2018年9月26日)

https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-808291.html
http://archive.today/2018.09.26-235957/https://ryukyushimpo.jp/hae/entry-808291.html

地域は理念よりも感情で動くんだなぁ、と感じることがある。
会議の場では質問や意見が出なかったにもかかわらず、後から「実は…」と反対意見を耳にすることがある。また、内容ではなく発言者に対する感情(好き・嫌い)によって賛成・反対を決めているような場面を見ることも度々だ。声の大きな人の意見に従ったり、その場の空気を読んで発言を控えたり。この繰り返しの結果として、本当は望んでいない方向に進んでしまうこともあり得る。そうなると、後はただ従うだけ。そこに主体性や自発的な活動は生まれにくい。
沖縄県知事選挙の投開票日が近づいてきた。今回の選挙では、告示前から「デマ」が話題になった。その背景には、応援する候補者を当選させたいと思うあまり対立候補者の落選運動に力を入れるという状況があるように思う。それにしてもデマはいけない。誤った情報がインプットされると適正に判断することが難しくなってしまうからだ。しかし、うそだとわかっていながら敢(あ)えてデマを発信、拡散している人たちがいる。それも議員さんが加担している場合もあるというのが驚きだ。
なぜこのようなデマが生まれるのだろうか。
それは、受け取る側には判断力がなく雰囲気で流されると思われているからではないだろうか。真偽はどうあれネガティブなレッテル貼りに成功すれば、票の流れを変えることができると考えているのだろう。実際、その作戦はうまくいっているのかもしれない。「選択肢がない」という声を耳にすることもある。
私たち有権者には、情報リテラシーを高める努力が必要だ。それは日々の暮らしの中で自らの意見を持ち主体的に関わり発信することとつながっている。流されるのではなく、自分で判断し行動してほしい。(宮城潤、那覇市若狭公民館館長)