(大弦小弦)極右勢力に称賛されて、喜んでいいものかどうか… - 沖縄タイムズ(2018年9月24日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/319037
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極右勢力に称賛されて、喜んでいいものかどうか。ドイツの新興政党「ドイツのための選択肢」の幹部が時事通信のインタビューに「国家の使命は国境の保護。日本は非常に良くやっている」と答えている

▼紛争や迫害のため故国を逃れた難民の受け入れは2016年、ドイツの25万人に対し、日本は28人。ほぼ1万分の1しかない。先進国でありながら、消極姿勢は突出している

▼来年4月には法務省入国管理局が「入国在留管理庁」に格上げされ、職員も増える。難民支援協会の石川えり代表理事は「人手不足を埋める労働力と、それ以外の外国人の選別、管理がさらに強まるのではないか」と懸念する

▼協会は16年の沖縄平和賞受賞を機に、内戦が続くシリアからの留学生受け入れを沖縄でも始めた。今年4月から男女1人ずつが那覇市日本語学校で学ぶ。家庭に下宿し、アルバイトをして、日本語も上達しているという

▼沖縄側の協力に感謝する石川さんは、しまくとぅばの「ちむぐりさ」に理由を見いだす。人の痛みをわがこととする。東京には同じような言葉がなく、「なぜ難民を迎えるのか、説明に苦労することも多い」と話す

▼救える命を救うことは、国際社会における応分の責任を果たすこと。その意味を、沖縄で隣人として暮らす留学生からも学べたらいいと思う。(阿部岳)