改憲反対デモ「庁舎前庭集合」 鎌倉市、申請不許可に - 東京新聞(2018年9月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090602000130.html
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神奈川県鎌倉市改憲に反対する市民グループ「鎌倉ピースパレード」が、デモの集合場所として市役所前庭の使用を申請したところ、市が「特定の政治的信条の普及を目的とする行為」に当たるとして不許可の決定をしていたことが分かった。グループは「憲法を守ることが、なぜ特定の政治的信条なのか理解できない」と反発している。
グループによると、十七日に予定するデモの集合場所として、庁舎前庭の使用を八月二十三日に申請。市は、庁舎管理規則に基づく「庁舎内行為許可に係る審査基準」に照らし、「特定の政治的信条の普及を目的とする行為」に該当することを理由に、同三十一日付で不許可決定をした。
市公的不動産活用課の鈴木康之課長は取材に「パレードのちらしの内容を見て判断した」と説明。ちらしには「民主主義を取り戻そう!九条改憲は戦争への道!」などと書かれ、「九条改憲の部分が一般的にどう受け止められるかなどを考慮した」と述べた。
五日の定例市議会で斎藤和徳・行政経営部長は「一定の政治的信条を持った方々が集合場所とすることが公になり、反対の主張を持った方々が多数出入りをすることによる混乱も考えられる」などと答弁した。
グループ代表の小堀諭さん(69)は「ピースパレードは市民運動であり、日常的に憲法を語るのと同じ次元のこと」と指摘。六月にデモを計画した際にも同様に不許可決定が出ており、審査請求を検討している。
同課によると、前庭など庁舎使用の申請は本年度、四日までに十七件あり、パレードの二件以外は許可されたという。 (北爪三記)

◆議論促進も行政の役割
<阪口正二郎・一橋大大学院教授(憲法学)の話> 前庭を市役所の建物と一体化させていいのか、という問題がまずある。地方自治法の「公の施設」の概念では、正当な理由なく利用を拒んではいけないとされており、前庭がこれに該当しないのか。さらに、行政の政治的中立性という点では今回、市が直接関与するわけではない。政治的に意見が分かれる問題こそ、市民が議論することでたくましい公共性が生まれる。公共性を育てることも行政の役割では。