(余録)少子化でこどもが減り、小学校が地域で役目を終え、廃校となるケースが近年は多い… - 毎日新聞(2018年8月20日)

https://mainichi.jp/articles/20180820/ddm/001/070/069000c
http://archive.today/2018.08.19-234211/https://mainichi.jp/articles/20180820/ddm/001/070/069000c

少子化でこどもが減り、小学校が地域で役目を終え、廃校となるケースが近年は多い。その際、自治体の悩みの種となるのが校舎や跡地の使い道だ。なじみの深い場所だけに、住民の関心も高いためだ。
そんな「廃校」がここにきて再利用で存在感を発揮している。千葉県鋸南(きょなん)町の場合、4年前に廃校になった小学校を改装して「道の駅 保田小学校」を開設した。校舎のたたずまいを残しつつ、宿泊可能な複合型施設にしたところ、町内有数の集客施設となった。
二宮金次郎像の隣に「cafe金次郎」があり、泊まり部屋には2階の教室部分を使い、食堂のメニューは給食風といった具合だ。廃校の再利用が成功したケースの多くは、校舎の持つレトロさをむしろ積極的に生かしている。
高知県室戸市にある再利用施設はその名も「むろと廃校水族館」。小学校にあった屋外プールをウミガメの水槽に使うなど校舎を水族館化した展示が人気を呼び、春の開館以来6万人以上が訪れている。
ウミガメを研究、保護しているNPO法人「日本ウミガメ協議会」が運営している。館長の若月元樹さんによると、市側が当初提案した名称は「海の学校」だったが、「わかりやすく」と「廃校」にこだわったという。
自治体によっては千葉県鴨川市のように、廃校の使い道を住民の協議によって決めようとしている例もある。人口減少の波は逆らいがたい。それでもかつての学びやが再生してにぎわう光景は、住民にとって、大きな励みになるはずだ。