翁長知事の記者会見、コメント全文 埋め立て承認撤回を表明 - 沖縄タイムズ(2018年7月27日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/289689
http://archive.today/2018.07.27-233109/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/289689

辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認処分には、「環境保全及災害防止二付十分配慮」という基幹的な処分要件が事業の実施中も維持されるために、事前に実施設計や環境保全対策等について協議をすることや環境保全図書等を変更する場合には承認を得ることなどを事業者に義務づける留意事項を付しております。
しかし、沖縄防衛局は、全体の実施設計や環境保全対策を示すこともなく公有水面埋立工事に着工し、また、サンゴ類を事前に移植することなく工事に着工するなど、承認を得ないで環境保全図書の記載等と異なる方法で工事を実施しており、留意事項で定められた事業者の義務に違反しているとともに、「環境保全及災害防止二付十分配慮」という処分要件も充足されていないものと言わざるをえません。
また、沖縄防衛局が実施した土質調査により、C護岸設計箇所が軟弱地盤であり護岸の倒壊等の危険性があることが判明したことや活断層の存在が専門家から指摘されたこと、米国防総省は航空機の安全な航行のため飛行場周辺の高さ制限を設定しているところ国立沖縄工業高等専門学校の校舎などの既存の建物等が辺野古新基地が完成した場合には高さ制限に抵触していることが判明したこと、米国会計検査院の報告で辺野古新基地が固定翼機には滑走路が短すぎると指摘され、当時の稲田防衛大臣が、辺野古新基地が完成しても民間施設の使用改善等について米側との協議が整わなければ普天間飛行場は返還されないと答弁したことにより普天間飛行場返還のための辺野古新基地建設という埋立理由が成り立っていないことが明らかにされるなど、承認時には明らかにされていなかった事実が判明しました。
これらの承認後の事実からすれば、「環境保全及災害防止ニ付十分配慮」の要件を充足していないとともに、「国土利用上適正且合理的」の要件も充足していないものと認められます。
この間、県では、様々な観点から国の埋立工事に関する内容を確認してきましたが、沖縄防衛局の留意事項違反や処分要件の事後的不充足などが認められるにもかかわらず公有水面埋立承認処分の効力を存続させることは、公益に適合しえないものであるため、撤回に向けた聴聞の手続きを実施する必要があるとの結論に至ったところです。
私は、今後もあらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。

関連サイト)
「軟弱地盤の辺野古沖」こそ辺野古阻止の最強の決め手だ(天木直人のブログ)新党憲法9条(2018年7月28日)
http://kenpo9.com/archives/4030

翁長知事が切った承認撤回という最強の切札

ついに、きのう7月27日、翁長雄志沖縄県知事辺野古埋め立て承認撤回という「切り札」を切った。
これは翁長知事にとって「最後の切り札」であるかもしれないが、同時に最強の切り札でもある。
翁長知事が承認撤回の理由にあげた中に「埋め立て海域に軟弱な地盤がある可能性が指摘されているのに、国が沖縄県との協議に応じない」ことがある。
これこそが、撤回理由の最大の理由なのだ。
辺野古沖を埋め立てて、人工的に飛行場を造ることができない最大の障害なのだ。
そこには政治的要素の入り込む余地はない。
科学的に検証すれば、客観的な答えが出るはずだ。
米国の専門家を入れて第三者機関に調査させればいいのだ。
そうすれば辺野古工事は不適格となるだろう。
米国政府も、米国世論の前に、専門家の科学的意見を無視して強行できなくなる。
米国政府が見直すと言い出せば、それで決まりだ。
そのことをきょう7月28日の朝日新聞が社説で次のように詳しく説明してくれている。
「・・・今回、県に『撤回』を決断させた最大の要因は、今月初めに沖縄防衛局が県側に部分開示した地質調査報告書の内容だ。埋め立て用の護岸を造成する沖合の一部が、砂や粘土でできていて、想定とは大きく異なる軟弱地盤であることを示すデータが多数並んでいた」と。
「地盤工学の専門家によると、難工事となった東京・羽田空港の拡張現場の様子に似ていて、『マヨネーズくらい』の軟らかな土壌が、深さ40メートルにわたって重なっている。政府が届けている設計や工法では建設は不可能で、その変更、そして費用の高騰は避けられない」と。
「驚くのは、報告書は2年前の3月に完成していたのに、政府は明らかにせず、県民や県の情報公開請求を受けてようやく開示したことだ」と。
とんでもない話である。
さらに言えば海流の速さというのもあるらしい。
羽田だけではなく関西空港も同じ問題があり、今でも地盤が沈下し続けているという。
これでは、いくら工事を進めようとしても、その後からすぐに埋め立てが流れ、崩れていくのではないか。
素人でも容易に想像できる。
官房長官は27日の記者会見で、例によって「移設に向けた工事を進めていくという考え方に何ら変わりはない」と強硬姿勢を崩していないが、技術的に難しい工事をどうして強行できるのか、そう追い詰められたら、たちどころに行き詰まるだろう。
政治的な理由でいくら反対しても、安倍・菅暴政コンビは1強に任せてごり押しする。
しかし、技術的、専門的に無理なものは、いくら安倍・菅暴政コンビでもごり押しできないのだ。
ごり押しすれば、そのつけは何倍にもなって返って来るだろう。
今度の翁長知事の承認撤回表明は、最後の、しかし、最強の、辺野古阻止の切り札である(了)