<金口木舌>人を人とも思わぬ言葉に、胸が苦しくなる。自民党の杉田水脈(みお)・・・ - 琉球新報(2018年7月28日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-770347.html
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人を人とも思わぬ言葉に、胸が苦しくなる。自民党杉田水脈(みお)衆院議員が性的少数者(LGBT)カップルは「子供を作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿し、行政支援を疑問視した

▼個人の生き方や身体の権利を侵害する自民党議員の発言は、今に始まったことではない。第1次安倍政権で柳沢伯夫厚生労働相(当時)は女性を「産む機械」と表現。6月に「子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べた二階俊博幹事長は杉田氏を擁護した
▼杉田氏はネット番組でこう語った。女子校の先輩に憧れる時もあったが「普通に男性と恋愛し、結婚し、母親になる」。性の多様性を教えると「正常に戻れなくなる」。「普通」「正常」という物差しの暴力性が差別を生む
▼性の多様性への理解が日本より進む米国でも、LGBTの若者の性的指向性自認を「治療」しようとするコンバージョンセラピーが宗教的動機などに基づいて行われている。ペンス副大統領は議員時代、そのセラピーを支援した。一方で、「治療」を法律で禁止する州もある
▼勝手な「物差し」による偏見が人を生きにくくさせ、時には命を奪う社会。そのバリアーをどう取り除いていくか
▼杉田氏のような考えを持った人が議員に選ばれるのが、日本の現実だ。議員が社会を映す鏡になっているとしたら、やるせない。