安倍首相の誤算…岸田氏が出馬断念で「アンチ票一本化」も - 日刊ゲンダイDIGITAL(2018年7月25日)

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案の定、自民党岸田文雄政調会長(60)が総裁選への出馬を断念した。これで9月に行われる総裁選は、安倍晋三首相VS石破茂の一騎打ちになる可能性が高くなった。岸田氏が“安倍支持”を表明したことで、首相周辺は「総裁3選は確実」とニンマリしている。しかし、本当に“安倍3選”は確実なのか。岸田氏断念によって、むしろ総裁選は波乱が起きてもおかしくない状況になったのではないか。

自民党員の中にも「安倍さんはもういいよ」の雰囲気

24日記者会見を開き、総裁選に立候補をしないことを表明した岸田氏。表向き、断念した理由を「安倍首相を中心に政治課題への取り組みを進めることが日本の安定にとって重要と判断した」としているが、本当は出馬しても2位になれないことがハッキリしたからだ。
「総裁選は最大、安倍晋三岸田文雄石破茂野田聖子の4氏の争いになると予想されていました。もし、総裁選に手を挙げるとしたら、岸田さんに課せられたノルマは、最低でも2位になることでした。なにしろ、岸田さんが率いる名門派閥“宏池会”は、議員数48人を抱える第4派閥です。20人しかいない弱小派閥を率いる石破さんに負けるわけにはいかない。石破さんに負けたら、政治的な影響力を失ってしまう。でも、どうシミュレーションしても、石破さんに勝てそうにない。それどころか、党員票は、野田聖子さんにも負けて4位になりかねなかった。世論調査では毎回、野田さんに負けていますからね。党員投票で最下位になったら、国民に不人気な政治家のレッテルを貼られてしまう。出馬したくても手を挙げられなかったのが実情です」(岸田派事情通)
なにがなんでも出馬を諦めさせ、岸田派から“安倍支持”を取りつけようとしていた首相周辺は大喜びだ。最大派閥の細田派(94人)、第2派閥の麻生派(59人)、第4派閥の岸田派、第5派閥の二階派(44人)を結集し、石破氏にトリプルスコアの差をつけて圧勝するつもりだ。 
しかし、岸田氏断念が裏目に出る可能性が囁かれている。
「秋の総裁選は、安倍首相と石破茂氏の戦いになるはずです。スキャンダルが噴出した野田聖子さんは、出馬できないでしょう。一騎打ちになったら、なにが起きるか。“反安倍票”が石破さんに集中することになります。自民党内に“アンチ安倍”は、潜在的に3分の2はいる。少なくても、地方を中心に自民党員の中に『もう安倍さんはいいよ』『あと3年も続くのか』という雰囲気が広がっています。地方にはアベノミクスの恩恵もありませんからね。党員票は、6対4で石破さんの方が多くなるかも知れない。その時、国会議員が党員の声に反して安倍首相を3選させられるのか。やはり、岸田さんにも立候補してもらって“反安倍票”を分散した方が良かったのではないか」(自民党関係者)
岸田氏が出馬を断念したことで、宏池会の実質的オーナーである古賀誠元幹事長が派閥議員を“石破支持”でまとめる可能性も出ている。
古賀氏の安倍嫌いは有名だ。
安倍首相VS石破氏の一騎打ちとなったら、あっと驚く展開になるかも知れない。