未曽有のテロ、解明ならず オウム全13人死刑執行 - 東京新聞(2018年7月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018072702000146.html
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法務省は二十六日、オウム真理教による一連の事件で殺人罪などに問われた教団元幹部六人の死刑を執行した。六日の教団元代表麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫(ちづお)=ら元幹部七人に続き、死刑が確定した十三人全員の刑が執行された。宗教団体が起こした未曽有の無差別テロは、解明半ばで刑事司法手続きが終わった。
この日執行された六人は、岡崎(現姓・宮前)一明(57)=名古屋拘置所横山真人(54)=同、端本悟(51)=東京拘置所、林(現姓・小池)泰男(60)=仙台拘置支所、豊田亨(50)=東京拘置所広瀬健一(54)=同=の各死刑囚。
三週間で二度の死刑執行は極めて異例。上川陽子法相は二十六日、記者会見で「慎重な検討を加えた上で執行命令を出した」と述べ、二日前の二十四日に命令したことを明らかにした。上川氏が在任中に命じた執行は計十六人となった。
一時中断していた死刑が再開された一九九三年以降、一人の法相としては最多。法務省が執行の公表を始めた九八年十一月以降、同じ月に二度執行した例はない。
確定判決などによると、横山、林、豊田、広瀬の四死刑囚は他の元幹部らと共謀し九五年三月二十日午前八時ごろ、教団への強制捜査を回避するため、中央官庁が集まる東京・霞ケ関駅を通る地下鉄三路線五車両に猛毒サリンをまき、乗客ら十三人を死亡させ、六千人以上を負傷させた。
端本、林両死刑囚は九四年六月、教団進出に反対する住民との間で裁判が続いていた長野地裁松本支部の裁判官を標的とし、支部近くの長野県松本市内の駐車場でサリンを散布。八人を死亡させ、六百六十人が負傷した。
岡崎、端本両死刑囚は八九年十一月、「オウム真理教被害者の会」を支援していた坂本堤弁護士=当時(33)=と妻都子(さとこ)さん=同(29)、長男龍彦ちゃん=同(1つ)=の三人を横浜市内の自宅で殺害した。
教団の一連の事件で死者二十九人、負傷者六千人以上を出した。麻原死刑囚ら百九十二人が起訴され、十三人の死刑判決と六人の無期懲役判決が確定。元信者の高橋克也受刑者(60)の無期懲役が今年一月に確定したことで、全ての刑事裁判が終結した。
公安調査庁は二十六日、オウムの後継団体「アレフ」など七都道府県の十二施設を立ち入り検査。警察、公安当局は信者らによる報復措置や、麻原元死刑囚ら元幹部が神格化の対象になることを警戒している。