(大弦小弦)国会議員の発言に失望したことは何度もある… - 沖縄タイムズ(2018年7月25日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/288691
https://megalodon.jp/2018-0725-0914-33/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/288691

国会議員の発言に失望したことは何度もある。だが、これほど危機感を覚えたのは初めてかもしれない。自民党杉田水脈衆院議員が月刊誌に寄稿し、LGBT(性的少数者)の行政支援に疑問を呈した

▼LGBTカップルへの支援に税金を使うことがいいのかと問い、その理由に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない」と主張したのだ

▼そもそも人を「生産性」で区分けすること自体が、重大な人権侵害である。当事者だけでなく、個々人の生き方を無視した乱暴なとらえ方で、差別を助長する。LGBTの差別を禁止するなどの法整備を求めるLGBT法連合会は23日に抗議声明を出した

▼杉田氏は「LGBTだからといって実際そんなに差別されているのか」とも述べる。性的指向性自認により、差別・偏見に悩む実態は多くの調査で明らかになっている。多様性を認める社会づくりにも逆行し、無理解も甚だしい

▼だれでも生きづらさを感じるときがある。それが社会の仕組みや習慣、風潮、差別によって生じるものであれば、見直し、解消することが共生社会の流れだろう

▼杉田氏は殺害予告メールを受け、関連するネット上の投稿を削除したが、謝罪はない。党の処分もない。国民の負託を受けた国会議員なら、困難を抱える人の声に率先して耳を傾けるべきだ。(赤嶺由紀子)