雨傘手に「民主主義的選挙を」 14年デモ 香港の若者を追う:首都圏 - 東京新聞(2018年7月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201807/CK2018071502000162.html
https://megalodon.jp/2018-0715-1005-13/www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201807/CK2018071502000162.html

2014年、香港の若者たちが「真の普通選挙」を求めて金融街を79日間にわたって占拠した運動を記録したドキュメンタリー映画「乱世備忘 僕らの雨傘運動」が、東京都中野区のポレポレ東中野で上映されている。 (野呂法夫)
世界各地で市民決起が相次いだ中、香港では雨傘を手にデモする若者らの姿が強烈な印象を残した。
自らカメラを回した陳梓桓(チャンジーウン)監督(31)は当時、二十七歳。「返還後の香港で育った『香港人』世代の一人。古里の民主主義を守るために立ち上がり、雨傘はその象徴でした」と話す。
香港は一九九七年、英国から中国に返還され「特別行政区」に。基本法の「一国二制度」は将来、トップの行政長官を普通選挙で選ぶことができるとされた。
だが二〇一四年、習近平政権は共産党が認めない候補を排除する仕組みを決定。大学・高校生らは九月、その撤回と民主主義的な選挙の道を求め、数万人規模の抗議活動を始めた。同じ「香港人」の若い警察官たちから浴びせられる催涙弾に雨傘を手に抵抗する。
映画は英語を専攻する男子大学生、法律を学ぶ女子大生、建設会社で働く男性らを中心に描く。テント村で英語無料教室が開かれ、学生らが民主主義を巡って議論を白熱させる場面は青春群像劇を思わせる。
陳監督は「香港に民主主義はないが、いつか『香港人による未来』をつくるための貴重な体験記録。日本は民主主義と自由がある。雨傘運動を共有し、積極的に政治参加する一助になればうれしい」と話した。
上映は二十七日まで。横浜市の横浜シネマリンでは八月二十五日から公開予定。