<「働き方」どう変わる>(4)年休と残業代 環境整備 働く側に利点も - 東京新聞(2018年7月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018071102000178.html
https://megalodon.jp/2018-0711-0921-32/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018071102000178.html


「働き方」関連法には、労働者の働き方や待遇改善につながる内容も盛り込まれた。代表的なものは、年次有給休暇(年休)の取得促進と、中小企業の残業代の引き上げだ。
労働基準法により、年休は仕事を休んでも給与が発生する休日で、働いた年数に応じて日数が与えられる。例えば、一年六カ月働いたら十一日、六年六カ月以上だと二十日与えられる。
年休取得は労働者の権利だが、「職場に負担をかける」といった心理的なためらいから十分な取得は進んでいない。厚生労働省の調査によると、二〇一六年の取得率は49・4%で五割に満たない。独立行政法人が一一年に行った調査では、一年で一日も年休を使わなかった人は16・4%いた。
今回改正された労働基準法では、年十日以上の年休がある労働者に対して、このうち五日は必ず取得することとし、企業側は労働者の希望を聞いた上で時季を指定する。年五日の有休を消化できない労働者がいる企業には罰金を科す。
政府は二〇年までに年休取得率を70%とすることを目標にしており、今回の義務化で社員が休みやすくする環境を整える。一九年四月から施行する。
中小企業の残業代の引き上げでは、現在は大企業に比べて低く抑えられている月六十時間を超えた分の割増賃金率を大企業と同等にする。
具体的には、月六十時間超の残業に対する割増賃金率を現在の25%から50%にする。時給が千円の労働者の場合、残業が月六十時間を超えた分は千五百円となる。二三年四月から施行となる。
残業代が引き上げられることで労働者にとっては収入増や残業の減少などのメリットがあるが、企業側にとっては人件費増につながる可能性がある。 =おわり
(この連載は、木谷孝洋が担当しました)