(政界地獄耳)政府としての総括を述べるべきでは - 日刊スポーツ(2018年7月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201807070000244.html
http://archive.today/2018.07.07-011018/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201807070000244.html

★5日の会見で官房長官菅義偉は、文科省前局長が私立大学支援事業を巡って受託収賄容疑で逮捕された事件について「教育行政に対する信頼を、根幹から揺るがしかねない極めて重要な問題だ」とするものの、文科相林芳正の責任問題には「大臣を中心に信頼回復に向けてしっかり対応を講じられる」と大甘裁定を示唆した。まさに森友・加計学園疑惑はそれに当てはまると思えるが、極めて異様な“差”を見せつけた。
★6日午前には、計29人の犠牲者を出した一連のオウム真理教事件の首謀者・松本智津夫死刑囚ら7人の死刑が執行された。未曽有の無差別テロ事件は、松本の首謀者としての動機などが明らかにされないまま、裁判が終わった。死刑確定というプロセスに被害者を含め、国民にはモヤモヤしたものが残る執行だったが、これで事件の全容解明は望めなくなった。
★政府としてはすべての関係裁判の終結、平成の事件は平成のうちに終わらせたいという思惑が見え隠れする。ただこの事件では、TBSが坂本弁護士のインタビュー取材ビデオをオウム側に見せて、弁護士一家殺害につながる大問題が起きた。この問題は、今でもメディアの負の例題として扱われている。またオウムへの強制捜査を巡り、破防法適用が議論されるなどもした。その結果、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律を新たに作り、適用するなど、当時の村山政権の英知がみられた。
★それならば政府は法相会見に任せず、政府としての総括をここに述べるべきだったのではないか。決してすべてが解決したとは言えない事件の幕引きだけでは、次世代に教訓を残すことはできない。(K)※敬称略