(政界地獄耳)首相外遊中に歴史は動く - 日刊スポーツ(2018年6月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806070000226.html
http://archive.today/2018.06.07-005719/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806070000226.html

自民党筆頭副幹事長・小泉進次郎は6日、加計学園獣医学部新設をめぐり「どう考えても『愛媛県にうそをついた』というのはおかしい。(国会に)特別委員会を立ち上げてほしい」と発言した。小泉発言は政界に及ぶ影響が大きい。だが、国会に特別委員会が設置される機運はない。5日の自民党総務会では、財務省の決裁文書改ざん問題の調査結果に批判が噴出した。「当事者だけで作った報告書は信用できない」「なぜ改ざんが行われたのかや、国有地の値引き理由も明確ではない」に始まり、元財務省理財局長で前国税庁長官・佐川宣寿の「停職3カ月相当の処分は甘い」にまで話題は広がった。
★総務会長・竹下亘も「一定のことは書いてあったが、ストンと落ちる状況ではなかったというのが正直な感想だ」と苦言を呈した。その竹下は派閥の会長就任祝いとして5日夜、首相・安倍晋三の招待で会食した。約3時間の中身はなかなか漏れてこないが、政局認識、総裁選と多岐に及んだものとみられる。自民党総務会の財務省批判は、野党のそれと立場は違うものの、一体化し始めた。自民党からも副総理兼財務相麻生太郎辞任論が高まれば、事実上の倒閣運動に飛び火することは明白。麻生の責任論は首相の責任論に直結する。まして首相発言が文書改ざんの契機となっていたとなれば、なおさらだ。
★与党は慎重に推移を見守るが、麻生問題は政権の存命に直結する。政界関係者が言う。「6日に首相が日米首脳会談、カナダのG7に向かう。帰国は11日の予定。この間に秋の総裁選の行方が決まるだろう。主人公が外遊中に歴史は動くものだ」。党内が水面下で動きだすのは、麻生降ろしと安倍3選阻止の2段構え。与野党対決の構図になっている新潟県知事選(10日投開票)の結果も影響するだろう。政局はこの週末、1つのヤマを迎える。(K)※敬称略