悩める生徒ら集う高校内のカフェ 県内9校、広がる「居場所」:神奈川 - 東京新聞(2018年6月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201806/CK2018060602000132.html
https://megalodon.jp/2018-0606-0907-48/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201806/CK2018060602000132.html

若者支援団体のスタッフらが昼休みや放課後、高校の一室を「カフェ」に見立てて、生徒と交流する取り組みが県内で広がっている。過ごしやすい居場所を提供するとともに、生活上の悩みを相談できる関係を築くことで、中退や卒業後の進路の未決定などを防ぐ試みだ。 (福田真悟)
音楽プレーヤーからJポップが流れ、机には無料のお菓子やコーヒーが並ぶ。先月下旬の中間試験最終日の午後、大和東高校(大和市)の多目的教室を生徒たちが次々に訪れた。
NPO法人「パノラマ」(横浜市青葉区)が学校と連携し、昨年六月から毎週金曜の放課後に開く「Border Cafe」。ギターを弾いたり、ボードゲームで遊んだりする生徒を、ボランティアらが「ケーキ、もっと食べて」などと声を掛けつつ、そっと見守る。
パノラマは、二〇一四年から田奈高校(同区)でも同様のカフェを開く。「困った時に相談してもらえるよう信頼関係を築き、就労や福祉などさまざまな支援につなげる場所」と代表の石井正宏さん(49)は話す。
以前、同校の出張相談員を務めていた際に「待っているだけではなかなか会えない」と感じ、校内の図書館に拠点を開設。雑談を重ねるうちに、より多くの生徒を支援できるようになったのがきっかけだ。
両校は、学力試験がなく、勉強などにつまずいた生徒の学び直しに重点を置いた県の「クリエイティブスクール」。中学時代に不登校を経験したり、家庭が経済的に厳しかったりする生徒も多いという。
大和東の熊野宏之校長は「生徒にとって、いきなりソーシャルワーカーらに相談するのはハードルが高い。日頃から大人と接する取り組みは効果的」と期待を寄せる。二年の男子(16)は「石井さんたちは話しやすく、ここでできた友だちにも会える。週一回の楽しみ」とほほ笑んだ。
県内では現在、公立計九校で同様のカフェが実施されている。その運営者らが集まり、課題を語り合う「高校内居場所カフェ・サミット」が九日午後二時から、県青少年センター(横浜市西区)で開かれる。一般公開され、資料代五百円。参加申し込み、問い合わせは、かながわ生徒・若者支援センター=メールseitowakamono-shien@yahoo.co.jp=へ。