(政界地獄耳)「この道しかない」ではダメ - 日刊スポーツ(2018年5月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805210000271.html
http://archive.today/2018.05.21-013515/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805210000271.html

★不誠実で強引で、利己的で強権的。自分以外の価値観を認めない。それで安倍政権が頭に浮かんでくるとなれば、政権は知らず知らずのうちに、相当感じの悪い政権になってしまっている。それに慣れてしまうと、自民党公明党もそれが基準になるので、全体像が見えにくくなる。その結果、周辺は押し流されてしまう。その内閣の意思を示すという意味では、閣議決定も重要な役割を持つ。政権が持つ、統一した考えということになる。
★最近の閣議決定は「首相官邸の幽霊は承知していない」「首相・安倍晋三の夫人でも、昭恵は私人である」「沖縄北方担当大臣・島尻安伊子が歯舞の読み方を知らないという事実はない」「自衛隊国際法上、一般的には軍隊と取り扱われる」「憲法9条は、核兵器保有及び使用を禁止しているわけではない」「首相はポツダム宣言を当然読んでいる」「教育勅語を教材に用いることは、憲法教育基本法に反しない形である限り、否定されない」「森友学園の国有地払い下げで、政治家からの不当な働きかけはなかった」「そもそもという言葉には、基本的なという意味もある」「セクハラ罪という罪は存在しない」「元首相秘書官・柳瀬唯夫が首相官邸愛媛県関係者と面会した記録は残っておらず、確認は困難」。
★自らを肯定するために、それが失言であったり、うそかもしれなくても、真正面から答えることでなくても、閣僚全員で意思統一を強引に図るという意味も含め、閣議決定する。野党や国民から見れば、閣議はこんなことをしているのか、と思われても不思議はない。この政権に立ち止まるとか、振り返るとかいう文化はない。前に進むだけの手だてしか持ち合わせていないようなら、経済政策も外交も当てにできない。政治には幅が必要。「この道しかない」ではだめだ。(K)※敬称略