自衛隊 ジブチ拠点強化へ 機能拡大、防衛大綱に明記 - 毎日新聞(2018年5月6日)


https://mainichi.jp/articles/20180506/k00/00m/010/098000c
http://archive.today/2018.05.06-005548/https://mainichi.jp/articles/20180506/k00/00m/010/098000c

自衛隊ソマリア沖での海賊対処活動のために東アフリカのジブチに置いている拠点に関し、政府は邦人保護や人道支援の機能を追加する検討に入った。年末に改定する防衛政策の指針「防衛計画の大綱」に盛り込む方向だ。ジブチはインド洋西端に位置し、米国と共に推進する「自由で開かれたインド太平洋戦略」の拠点とする思惑もある。ジブチ政府との借地契約は現行では1年単位で、中長期的な運用を見据え複数年契約に変更する案もある。
機能強化は安全保障関連法で在外邦人の輸送・保護が自衛隊の新任務となったことを受けたもの。政府はジブチを中東・アフリカでの邦人保護活動の足場と位置づけ、2016〜17年に関連訓練を実施。一時滞在施設や物資の集積拠点として活用したい考えだ。
ジブチはアジアと欧州を結ぶ航路の要衝バブルマンデブ海峡に面する。機能強化には、インド洋で活発化する中国の動きに対抗して日本の存在感を示す思惑もある。中国は経済圏構想「一帯一路」の一環でスリランカパキスタンでの港湾開発や利権獲得などを推進。並行して潜水艦派遣など軍事面の活動も強化している。昨年7月には人民解放軍初の海外基地をジブチに開設した。
これに対し日本は、海上自衛隊の艦船がジブチとの間を往来する間に、インド洋や南シナ海の沿岸国との防衛協力などを行う「戦略的寄港」を推進。1〜2日には海自艦がオマーンのドゥクム港に寄港し、オマーン海軍と親善訓練を行った。またジブチの機能強化後は、アフリカ諸国に人道支援や災害救助のノウハウを伝える「能力構築支援」に際し、自衛官の派遣拠点とする構想もある。ただ、自衛隊駐留は海賊対処のために日本とジブチが結んだ地位協定が根拠。「活動の幅を広げるには根拠が弱い」との意見もあり、法整備や協定改定も検討する。
自衛隊は09年からジブチに駐留し当初は米軍基地施設を借用。11年からジブチ国際空港の隣接地約12ヘクタールを借り、現在は約15ヘクタール。陸上自衛隊の警備要員も含め約170人がいる。【秋山信一】