(政界地獄耳)改憲の機は本当に熟したのか - 日刊スポーツ(2018年5月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805040000181.html
http://archive.today/2018.05.05-004646/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805040000181.html

憲法記念日の3日、外遊中の首相・安倍晋三は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と民間憲法臨調が共催した憲法フォーラムにビデオメッセージを寄せ、「いよいよ私たちが憲法改正に取り組むときが来た。改憲を成し遂げるためには国民の理解、幅広い合意形成が必要だ。この1年間で改憲の議論は大いに活性化し具体化した。大変喜ばしい」と改憲の機は熟したとの考えを示した。
★思えば毎年同様の発言をしているのではないかと思う。また首相が言う「改憲の議論は大いに活性化し、具体化した」のだろうか。つまり機は熟しているのか。今、国会は官僚によるデータ改ざん、公文書の改ざん、国会での幹部職員の答弁でのウソや記憶喪失が話題だ。首相が言うように国民の改憲の機が熟したといえども、高い順法精神が求められる中央官庁幹部たちが現行憲法や法律を順守できず、国民や国会をごまかし続けているその責任者が首相でありながら、またその責任は自分にあると言いながら、それとこれとは別とばかり憲法改正にまい進する様は、いささか前のめりではないのか。
★首相は憲法改正に意欲を示し、今の憲法9条改正ではなく、96条を改正したいと言い出した時、なかなか議論が広がらず、反対意見が多かったこともあり、13年の5月5日、記者団に対して「憲法改正、また96条の改正については、まだ十分に国民的議論が深まっているとは言えず、理解が十分とも言えない。やはり憲法改正ですから、十分な議論、熟議が必要だし、また、友党である公明党の皆さんとも、党代表山口那津男をはじめ皆さんとも丁寧に議論していきたい」と発言し、96条改正を断念するとした。それからあの手この手と改正する中身を変えたが、国家公務員の順法精神が揺らぐ今、熟議とともに現行憲法をまず順守させる公務員教育が急務ではないのか。(K)※敬称略

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金沢大の「概説」講義から 1(金沢大学学校教育学類准教授石川多加子さん)-朝日新聞(2013年06月11日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20131107#p2

http://megalodon.jp/2013-1107-1122-54/t.asahi.com/d3hu
◆求められる「熟議」◆ 
憲法改正の本丸はやはり9条です。しかし、自民党は9条を変えるために今、何をしようとしているか、わかりますか?」
金沢大学学校教育学類の石川多加子准教授(48)=憲法学=がマイクを手に問いかけた。
ここは、金沢大角間キャンパスの総合教育講義棟202教室。石川さんの講義「日本国憲法概説」が行われている。
間を置かず、学生側から声があがった。「96条の改正です」
〜*96条改正案*〜
安倍晋三首相のもと、自民党参院選の選挙公約として、憲法改正の発議要件を衆参それぞれ過半数に緩和する案を掲げる方針といわれている。