憲法記念日 県内各地で集会 - 信濃毎日新聞(2018年5月4日)

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憲法記念日の3日、県内各地で憲法について考える集会や勉強会が開かれた。戦力不保持規定を残したまま、9条に自衛隊を明記する安倍晋三首相の提案について市民らも意見交換。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざん、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題といった不祥事が続き、不信感が広がる安倍政権下での憲法改正を不安視する声が目立った。
須坂市内の9条の会などでつくる実行委員会は、憲法をテーマにした街頭討論会を臥竜公園で開き、約40人が集まった。護憲派改憲派を問わず、さまざまな立場から自由に発言してほしいと初めて企画。市民ら10人余がそれぞれの思いを語り、戦争の反省から生まれた憲法への愛着を語る年配の参加者が目立った。
男性の1人は「改憲が必要な部分もある」と考えつつも、安倍首相が主導する改憲の動きには「国民を置き去りに、数の力で変えてしまおうと感じられる」。市内の女性(67)は、改憲の是非を判断する上で「(政治が)まず真実を語らないといけない」と指摘。不祥事が続発する政権が改憲の必要性を訴えても「信じられない」と語った。
中信地方の市民団体「本気でとめる戦争!中信市民連合」は、元防衛官僚で内閣官房副長官補を務めた柳沢協二さんを招いた集会を松本市の花時計公園で開き、主催者発表で約500人が参加した。
柳沢さんは北朝鮮問題に対する安倍政権の圧力路線を批判し、「国民が主権者としての自覚を持ち、考えることが戦争を止める力になる」と強調。改憲について自民党は戦力不保持を定めた9条2項を残しつつ自衛隊憲法に明記する考え。安保法制があるため、制限のない集団的自衛権行使を可能にする恐れが指摘されており「きちんとした軍隊を持つと言えないのなら、(自衛隊に)海外で武器を使うような仕事をさせてはいけない」と訴えた。

伊那市では上智大名誉教授の高見勝利さん(憲法学)が講演。上伊那地方の有志らの実行委員会主催で約700人が聞いた。高見さんは「憲法は国家権力を制限する規範。権力の拡大や新しい権力を創設する改正には慎重でなければならない」と解説。安倍首相が9条に自衛隊を明記しようとすることは「新しい権力の創設になる」と指摘した。