国会の混乱 与党の責任はより重い - 東京新聞(2018年4月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018042702000153.html
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国会で不正常な状況が続いている。政府の一連の不祥事を受け、野党側は真相解明と責任明確化を求めたが、与党側の対応が不誠実なためだ。責任の大半は与党側にあることを忘れてはならない。
衆参両院の予算委員会できのう外交などをテーマに、安倍晋三首相が出席して集中審議が行われたが、日本維新の会以外の野党は欠席した。国会は、国民を代表して交わす議論を通じて実行する政策を決め、課題を解決する場である。野党の欠席戦術は決してほめられたものとは言えない。
かといって、与党に野党の責任を問う資格はない。不正常な国会が続く責任のほとんどは、不誠実な対応を続ける政権の側にあるからだ。野党側に責任を押し付ける姿はあまりにも見苦しい。
そもそも、野党側が真相解明と政治責任の明確化を求めているのは、政府の不祥事である。
森友学園への国有地売却の経緯と財務省による決裁文書改ざん、加計学園獣医学部新設をめぐる元首相秘書官の関与、陸上自衛隊部隊の日報隠蔽(いんぺい)、福田淳一前財務次官のセクハラ疑惑、などなど。
首相はきのうも「信頼回復に向けて、必ず全容解明し、うみを出し切る」と述べたが、これまでの言動を見る限り、真相解明に真剣に取り組んできたとは言い難い。
本気であれば、野党が求める柳瀬唯夫元首相秘書官ら関係者の証人喚問に応じ、関係者の処分を検討するよう、政府の関係部局や自民党執行部に指示したらどうか。
政権を構成するとはいえ、与党も行政監視の役割を負う。政府の不祥事には野党と協力して真相解明を迫るべき立場にあるにもかかわらず、政権を擁護し、野党側に不誠実な対応を続けるのは、長期政権のおごりなのだろうか。
自民党内では衆院解散論もささやかれ始めた。審議に応じない野党をけん制する狙いなのだろう。
安倍政権の是非を問う意義は積極的に認めるが、政府の不祥事の真相を解明しないまま解散するのは、佐藤栄作首相による「黒い霧解散」と同じく疑惑隠しと批判されても仕方がない。
与党は野党要求を誠実に受け止め、事態打開の道を探るべきだ。
野党側にも注文がある。与党の不誠実さは、野党の力不足にも原因がある。数が少ない上に四分五裂状態で、十分な交渉力がない。新党協議を進める民進党希望の党に限らず、幅広い野党勢力の結集に努め、政権の選択肢を一日も早く国民に示すべきである。