<金口木舌>「古くて新しい」がかっこいい - 琉球新報(2018年4月6日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-695466.html
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米国の音楽市場で面白い現象が起きている。調査会社ニールセンによると、レコードアルバムの販売が12年連続で伸び続けているのだ

▼2017年は1432万枚を記録。1993年は30万枚だったことを考えると、劇的な復活だ。若者向けの服や雑貨のセレクトショップでも売られ、デジタル慣れした世代に「アナログが新しくてかっこいい」と支持されている
▼とはいえ、今の音楽業界の主流はネット配信だ。全米レコード協会の17年統計はストリーミングの楽曲配信が65%と席巻し、全体の販売額を押し上げた。レコードの販売額は前年より10%増えたが、CDを合わせた割合は17%にすぎない
▼音楽を聴く形態は変化するが、楽しみ方はそれぞれ。人生を彩る音に変わりはない。友人いわく「レコードは『本物』を感じる。ネット配信は手元に残らないが、レコードは自分のコレクションを持て、店で思いがけないアルバムに出会う発見もある」
▼それって新聞に似ているかもしれない。ページをめくると、普段関心のない話題も目に飛び込む。記事の切り抜きは電源やネットにつながらなくても自分だけのデータベースになる
▼4月6日は「新聞をヨム日」。ニュースに触れる「形」は変わっても、信頼できる情報で社会の出来事に関心を持つ機会が増えるといい。大事なのは身近な地域と、世界と、私たちがつながることだから。