(政界地獄耳)改ざんも隠ぺいも税金の無駄遣い - 日刊スポーツ(2018年4月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804040000137.html
http://archive.today/2018.04.04-012201/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804040000137.html

森友学園の問題は、たかだか8億円の値引きの話。国会が1年以上かけて議論するようなものではない。国会には、もっと大切で議論すべき問題が山積みする。こういう声をよく耳にする。また、この8億円のいきさつについて調べるため、国会議員の給料や調査費、官僚の資料作成など、8億円以上の費用がかかっているとの指摘もある。なるほど、そういう視点の当て方もあるのかと、考えさせられる。
★だが、いずれも国民の税金だ。さらに、前国税庁長官が就任後、記者会見も開かず、雲隠れし続けた。税金の無駄遣いの議論で言うならば、前国税庁長官も同罪だろう。公文書改ざんは、他に議論すべき大事なことの後回しにされるべき事柄ではない。民主主義の根幹を揺るがし、決済後の文章が改ざんされる事態は歴史の修正であり、民主主義国家がやることではない。それをエリート中のエリート財務省の官僚が、組織ぐるみで行っている実態の解明よりも、やるべきこととは何か。その審議内容すら改ざんされる恐れがあるのに、先に進めろということだろうか。また、趣旨が同じだから問題ないという議論にも、くみしかねる。
★政治家の関与があろうがなかろうが、改ざんすることを良しとする文化が中央官庁にあることに、重大な不安を覚えている。まだ開示請求や国会での議論の最中に、公文書や資料が紛失した、または破棄したという。ほとぼりが冷めたころ、「見つかりました」と言いだす中央官庁の“手口”にもあきれる。最近も同様の事態が続くが、これも文書改ざんと同罪ではないか。大臣がぶら下がりで「おわび」を言う程度で、国会での審議や追及の時間の無駄はどうなるのか。8億円の追及が無駄と言うのなら、文書隠しも相当の無駄だと思うが。うっかりや勘違いが横行する国会は、中央官庁になめられっぱなしだ。(K)※敬称略